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2013-09-16 00:00
(連載)国際法上、人道的介入の武力行使は可能か(3)
角田 勝彦
団体役員
このような情勢のなかで生まれたのが、シリア化学兵器の国際管理案である。9月9日、ケリー米国務長官が、米国のシリア攻撃回避の条件としてアサド政権による化学兵器の放棄と国際管理をあげたのに対し、ラブロフ・ロ外相が国際管理の一案を提示した。オバマは、9日、「重要な事態の打開策となり得る」と述べて歓迎し、ロシアや他の国連安保理常任理事国との間で、早急に具体策を協議するようケリー国務長官らに指示したことを明らかにした。10日、シリア外相がロシア提案の受け入れを表明し、12~13日の米ロ外相会談が開催されたのである。アサド大統領は、12日放送のロシア国営テレビのインタビューで、保有するすべての化学兵器を国際管理下に置くというロシア提案を受け入れ、化学兵器禁止条約に加盟する考えを示した。
さて、人道的介入(「保護する責任」)の問題である。小和田滋国際司法裁判所裁判官(9月13日付読売新聞インタビュー記事)によれば、「人道的介入」の是非は国際法の最大の問題に浮上してきており、アジアで初の開催になる万国国際法学会東京総会で、根幹の問題として議論が続けられる由である。
20世紀初頭まで正戦論の存在が示すように、戦争は国際紛争解決の手段の一つとして認められてきた。第一次大戦の惨禍から誕生した国際連盟及び1928年の不戦条約を経て、第二次大戦後設立された国際連合は国際紛争の平和的処理義務と集団安全保障体制を打ち立てた。ただし構想された国連軍は発足せず、米ソ冷戦で国連安保理があまり行動できないなか、個別の自衛に加え国連憲章上認められた、集団的自衛(同盟)が重視されてきた。ニッチの対策として国連平和維持活動(PKO)もある。
1989年マルタ会談を経て1991年のソ連崩壊で東西対立の冷戦構造が消滅して、国連は変化を求めた。その成果の一つが1992年1月の始めての首脳レベル安保理会議の要請により、同6月ガリ国連事務総長が安保理へ提出した「平和への課題」と題する報告であった。ガリは、冷戦終焉で好機がきたとして、PKOを超えた平和実施部隊派遣構想(強制的停戦など国連憲章第40条の暫定措置)などを提案した。しかしソマリア、ボスニアの失敗から95年1月「平和への課題補足」で国連の能力を超えていると認めざるを得なかったのである。(つづく)
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