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2013-09-21 00:00
特権的なIOCの改革・改善を実現しよう
松井 啓
大学講師
8年越しの喜怒哀楽を経て2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決定したのは大変喜ばしい。但し、その選考過程はあまりにも長く、かつ透明性に欠けていたように見えた。東京が当選したからには、今後恐れなしに国際オリンピック委員会(IOC)改善の提言をし、同時に日本の存在感を高めていってはどうだろうか。今までのIOCに対する批判を要約すれば、誤解もあろうが次の通りとなる。IOCは1894年にフランス人により結成された伝統を引継いできて、近年改善されたとはいえ依然として西欧中心の組織であり、会長は欧州出身者が多い(ロゲ会長はベルギー人、引継いだバッハ新会長はドイツ人)。委員111名の構成はヨーロッパ47名、アジア24名、パン・アメリカ20名、アフリカ15名、オセアニア5名である。
委員は特権階級の匂いが強く(五輪貴族)、王室・王族関係者、上流階級同士の仲間意識が強く、IOC の運営を「牛耳っている」。委員の倫理の乱れ、金権腐敗、横領、収賄、汚職がささやかれている。競技ルールの変更、競技種目の選別・変更も不透明で、開催地の選考過程では、委員の現地視察の大名旅行や、贅を尽くした飲食、パーティー、高級サロンでのロビー活動等が絡んで、その必要性があるのか疑問である。大会は大規模化し(競技種目は300、参加選手は1万人超)、商業主義に毒され(開催費は1984年ロサンゼルスでは1,149億円、2004年アテネ2,656億円、2008年北京2,740億円、2012年ロンドン3,570億円、数字は朝日新聞)、小国や開発途上国での開催は益々困難になってきている。
メダル獲得が国威発揚に使われ、選手は専業化している。「参加することに意義がある」、「人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別は一切認めない」との原点から遥かに遠ざかっている。それではIOC改善に何をすべきか。第一歩は、委員構成の改組であろう。それには日本がアジア、アフリカ、アラブ、南北アメリカ諸国と協力して、委員会の民主化、透明化、近代化を唱道し、上記のような問題改善にイニシアチブを取るべきである。この過程で日本に不足していると言われる「人脈創り」や「外交術」の養成ができる。
次に、IOCは、開発途上国のスポーツ(身障者を含む)発展、選手強化に対する支援を一層進めるべきである。日本も、JICAや青年協力隊のプログラムで協力できる。更に、大会のスリム化を進めると同時に、小国や貧国でもオリンピックを開催できるように支援する基金をIOCに設立すべきである。今まで国際関係悪化を理由に何回かのオリンピックがボイコットされたが(日本もモスクワ大会に不参加)、これこそオリンピック精神に反し、競技参加のために励んできた選手の努力を踏みにじるものである。政治問題を理由にオリンピックをボイコットできないことを再確認すべきである。なお、東京五輪を目指して日本にもカジノを開張しようとの発言が聞こえるが、これこそオリンピック精神とは無縁な、金に目の眩んだ動きである。日本だけは先進国の中で賭博を大衆ゲームとして認めない国として残って欲しい。
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