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2013-10-06 00:00
ドイツとEU
船田 元
元経済企画庁長官
私は去る9月12日から22日まで、衆議院憲法審査会海外派遣の一員として、ヨーロッパ3カ国を訪問した。チェコ、ドイツ、イタリアの3カ国だが、「ドイツ基本法」(憲法と同じ)の調査が中心である。ドイツでも上院・下院両方の3分の2の賛成が、基本法改正には必要だが、国民投票は必要としていない。これはワイマール憲法下でナチスの台頭を許した、国民の熱狂を助長した「国民投票」に対して、強い反省の態度を維持しているからだ。このような教訓が、ドイツの基本法や制度の中にちりばめられていることは、印象深い。
ところで、ドイツは欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)の時代から、ヨーロッパの牽引役としての自負心を持って、EUの統合にリーダーシップを発揮してきた。ところが最近は、ドイツ国内でEUに対する評価が芳しくない。今回の訪問でも各所で確認できたが、理由のひとつは、EUという「超国家組織」にこれ以上、自国の権限を委ねてはいけないという考えだ。EU議会がなかなかものを決められない状況を見ると、尚更である。
もうひとつは、拡大EUの状況にある。12カ国でスタートしたEUは、現在では旧東欧諸国も含め28カ国に拡大している。その中にはギリシャやポルトガルなどの、財政破綻寸前の国々も含まれている。これらが破綻すれば、ユーロという地域通貨も危機を迎え、ドイツがどんなに頑張っても、地盤沈下が避けられないからだ。
かといって、ドイツはEUから逃れる選択肢を持っているわけではない。債務超過国に対する警告を続け、ヨーロッパ中央銀行(ECB)への支援を行うという、過酷なミッションを、ドイツ政府と国民は強靭な国民性を持って、乗り切って行くだろうと、確信した。
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