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2013-10-15 00:00
(連載)米外交の敵は国内に在る(1)
鍋嶋 敬三
評論家
米国債の債務不履行(デフォルト)の恐怖が目前に迫る米国の政治危機は外交、安全保障政策に深甚な影響を与えている。オバマ大統領が最大の外交課題とした10月初めのアジア太平洋経済協力会議(APEC)、環太平洋経済連携協定(TPP)、東アジア首脳会議(EAS)の首脳会合のためのアジア歴訪を中止したことは、米国の威信と信頼を傷付けた。中国けん制の一面も持つ「アジアへの再均衡(リバランス)」を掲げるオバマ外交にとって、戦略的失策であった。大統領自身が訪問中止によって中国に有利な情勢を自ら作り出したことを認め、「訪問すべきだった」と反省の弁を述べたが、「後の祭り」である。
オバマ外交の蹉跌(さてつ)の根本原因は、政府機能の停止に追い込んだ議会の民主党対共和党の泥沼の対立による内政の混乱である。第Ⅱ期オバマ政権が力を入れてきた中東政策でも、シリアへの介入を巡ってロシアにリードを許した。大統領のアジア歴訪中止の結果、中国の習近平主席が「立役者」になり、米国が中国との対決の際に敢然と立ち向かうのだろうかとか、TPPを米議会で通す政治力があるのかなどと、アジア諸国に懐疑的な見方が広がっていることを、ニューヨーク・タイムズ紙が紹介した。
大統領の名代としてアジアを歴訪したケリー国務長官は「米国のアジア関与はいささかも変わらない」と繰り返し表明したが、「アメリカの弱さの表れ」というアジア諸国の受け取り方を払拭できなかった。米国の外交的失策は、アジア太平洋地域で深く広く影響するだろう。TPP首脳会合の欠席でオバマ大統領が目指した「年内妥結」の機運は大いに削がれた。中国はTPPの遅れを好機ととらえ、米国抜きの東アジア地域包括経済連携(RCEP)交渉を加速している。2015年の東南アジア諸国連合(ASEAN)共同体発足を控えて、中国の影響力が拡大しつつある。
ホワイトハウスのホームページを開くと、いきなり「政府閉鎖。議会が予算を通す責任を果たさないため、連邦政府の多くが閉鎖されている」というお知らせが目に飛び込む。オバマ大統領は10月12日の週末ラジオ演説で政府機関の閉鎖とデフォルトの危機は「米国の信認と世界における地位を脅かすものだ」と野党共和党の非協力をなじり、国民の理解を求めた。(つづく)
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