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2013-10-28 00:00
「安保体制」内外一体の再構築
鍋嶋 敬三
評論家
安倍晋三首相が看板に掲げる「積極的平和主義」を支える国家安全保障戦略と新防衛計画大綱の策定、国家安全保障会議(日本版NSC)の創設法案および特定秘密保護法案の国会提出など、首相官邸を中心とする安保体制の強化が目に見える形で進展してきた。アジア太平洋地域の安全保障環境の「今後の10年間をにらんだ」(岸田文雄外相)という日米外務、防衛4閣僚による「2+2」会合が10月3日、初めて日本で開催され「より大きな責任の共有」をうたった共同声明で、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直し着手、15分野で安保・防衛協力を拡大する同盟強化策を打ち出した。
内外一体となった安保体制の再構築は同盟の信頼性を確実にし、抑止力の向上につながる。国会は十分な審議を尽くして必要な法整備を遅滞なく進めるべきである。1996年の日米安保共同宣言から17年。中国の軍事力増強、北朝鮮の核・ミサイル開発、サイバー攻撃など、新たな脅威に直面しながら日米同盟の対応が遅れ、地域の不安定化を助長した。米国の相対的な地位低下や日本政治の機能不全が背景にあった。オバマ政権のアジアへのリバランス(再均衡)戦略は最大の同盟国・日本の積極的な協力なしには機能しない。オバマ政権が「歴史的」と表現した東京での「2+2」に力を入れたのはこのためだ。
米国は「2+2」の成果を大きく評価した。ミサイル防衛用Xバンド・レーダーの2基目の配備、米国外で初めてとなる海軍P8哨戒機、さらにグローバルホーク無人機など最新兵器の日本への配備をわざわざ公表した。ヘーゲル国防長官は記者会見で尖閣諸島について「日米安保条約上の義務の対象」と再確認、「米国は日本の施政を害しようとするいかなる一方的、威圧的な行動にも強く反対する」と、中国に対して厳しい警告を発した。日米同盟の強化にかける米国側の強い思いが際立った。
安倍首相は「安保政策の立て直し」をとなえてきた。東アジア情勢の激変に的確に対応してこなかった歴代政権の無策の反省ととらえることができる。日本の外交、安全保障政策の基本方針となる国家安全保障戦略は有識者会議の場で検討されており、12月に閣議決定、これに基づいて新たな防衛計画大綱も決定の運びと伝えられる。その柱は「対米同盟の強化による日本への脅威の予防」に尽きるであろう。国家存立の基盤となる安全保障の基本だけに、集団的自衛権の行使の問題も含め、高度の政治判断を要する。首相を中心に内閣の責任において、まさに戦略的な議論を尽くしたうえで結論を出すべき課題である。
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