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2013-11-02 00:00
(連載)オバマ政権の本質と日本の対応(2)
袴田 茂樹
日本国際フォーラム「対露政策を考える会」座長
しかし、最近のオバマ政権の内外諸政策を見て、問題は単に正しい情報を与えることで解決するものではないということがはっきりしてきた。つまり、大統領自身が、米国の役割について従来の米国大統領たちと同じようには考えていないのだ。というよりも、米国が世界の秩序のために与えてきた国際公共財の意義を、つまり米国が果たしてきた国際的な役割を、ひいては国際政治の本質そのものを、オバマ大統領は理解していないのである。その結果、世界には大きな戸惑いと混乱を与えている。オバマは米国の大統領になるべき人物ではなかったのだ。
これは、必ずしも彼が民主党ゆえというわけではない。民主党でも、例えば、ヒラリー・クリントン国務長官などは米国の役割をはっきり自覚していた。ここで提起しているオバマ大統領と米国の役割の問題は、米国の経済・財政状況の悪化、中国の台頭と国際関係の変化、その他客観的な諸条件の変化によって、米国が従来の役割を果たすことができなくなった、ということとは質的に異なる問題だ。
つまり、私が問題としているのは、オバマ大統領や彼を取り巻く側近たちの政治信念や米国の指導者としての資質の問題なのである。対日政策に関しても、反日プロパガンダを正して日本に関する正確な情報を大統領に与えることはもちろん重要だが、政治信念や資質に関しては、単に正しい情報のみによって正すことはできない。米国のアジア重視政策、アジアへのピボットとかリバランスと言われた政策に関しても、オバマ大統領が国際戦略的な観点から真剣に取り組んでいるとは到底思えない。対中国政策、対北朝鮮政策だけでなく、欧州、ロシア、シリア、イラン、その他の地域に対しても、オバマが定見なり、信念なりを有しているとはとても思えない。
このような米国に対して、安全保障その他の問題で日本はどのように対応すべきか。オバマが米国のすべてではないので、米国との信頼関係、安全保障関係の再構築を最重要視すべきは当然である。しかし、米国政治の質的な変化に対しても、真剣な対応を考えるべき時が来た。日米安保条約がきわめて重要であることは当然だが、わが国の安全をもっぱら米国に頼ることはできなくなったという現実も、直視すべきである。結論として言えることは、今の日本にとって、わが国が安全保障面でも自助努力をどれだけ真剣に行うかが、問われているのである。(おわり)
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