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2013-11-11 00:00
またもバーミヤンの石仏
船田 元
元経済企画庁長官
アフガニスタンの首都カブール西方に、バーミヤンという古いまちがある。東西のシルクロードとインドからの道のクロスポイントとして、かつて栄えたまちと言われる。そこに岩壁をくり貫いて、巨大な石仏2体(東仏、西仏)が世界遺産として鎮座している。かつて日本の平山郁夫画伯が、この石仏をテーマとした作品を描き、日本でもその存在が一躍有名になった。ところが2001年の早春、当時アフガニスタンを席巻していた、イスラム原理主義のタリバーンが、偶像崇拝禁止の教義を守るべく、見事に破壊してしまった。
その後タリバーンに守られていたオサマ・ビンラディンの一派が、アメリカ同時多発テロを実行し、多大の犠牲をもたらしたことは記憶に新しい。私は当時、この石仏破壊と同時多発テロを同一視し、「異文化の存在を認めない勢力」の蛮行に強い怒りを抱いていたことを思い出す。
ところが最近この石仏についての、小さなニュースが飛び込んできた。ユネスコの関係組織で「イコモス(国際記念物遺跡会議)」というのがある。世界遺産を保護することが主な目的である。事件は、イコモスの中のドイツ調査隊が、各国に無断で東仏の脚を勝手に復元してしまったのである。しかも史実に基づかない、大きな脚を作ってしまったというから驚きだ。
足のない状態で観光客に見せるのは忍びないという、ドイツ調査隊の気持ちは分からないではないが、各国の了解なしに、しかも「復元」に値しない形で行うというのは、破壊行為の次に悲しむべきことである。猛省を促したい。世界遺産にしろ記念物にしろ、我々は現状の維持にもっと神経を使うべきだし、復元するのであれば、きちんとコンセンサスを得ながら、史実に忠実に行うべきだと考える。
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