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2013-11-13 00:00
(連載)安保法制懇と解釈改憲(2)
角田 勝彦
団体役員・元大使
安保法制懇は9月17日、7カ月ぶりに2回目の会合を開き、安倍首相は「いかなる憲法解釈も国民の生存や国会の存立を犠牲にするような帰結となってはならない」と述べ、改めて政府の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を解禁することへの意欲を示した。
安保法制懇は10月16日、首相官邸で第3回会合を開き、米国を攻撃した国に武器を供給する船舶に対する強制検査(臨検)など自衛隊の活動を拡大すべき5つの具体例を首相に提示した。いずれも現行の憲法解釈の変更や法整備を求める内容で、新たに提示されたのは、(1)米国を攻撃した国に武器を供給する船舶に対する強制検査(臨検)、(2)近隣有事での集団的自衛権行使や集団安全保障への参加、(3)国連決議に基づく多国籍軍への参加、(4)日本への原油輸送に関わる海峡封鎖時の機雷除去、(5)領海侵入した他国の潜水艦への実力行使の5事例である。「4類型」の議論をさらに深めたもので、来春にもまとめる報告書に反映させる由である。
内容はともかく、その前の問題は、解釈改憲という手法にある。自民党は憲法改正という正攻法に消極的になったように見える。例えば改憲手続きを定める国民投票法改正案をめぐり、国民投票の投票年齢を「18歳以上」に確定させるこれまでの内容を見直し、民法の成人年齢や公選法の選挙権年齢を18歳以上に引き下げるまで「20歳以上」とする方針を固め、改正案で足並みがそろっていた公明党や民主党などの反発をかっている。
北岡伸一座長代理は「憲法を厳密に守るより、国家の安全を保つ方が大切だ」(11月3日付日本経済新聞)と表明している。法学者の言葉とは受け取れない。なお、8月の法制局長官人事は、集団的自衛権解釈を内閣が主導しようとの強い意志を示しているが、他方、たとえば、当時、阪田雅裕元内閣法制局長官は「法制局の長官が交代したからといって見解が好きに変わるものではないし、もしそうなら法治国家ではあり得ない」と述べている。天権法理非という言葉もある。別途論じたいが集団的自衛権を容認しなくても国家の安全が保てなくなる訳ではない。権力で法を無視しようとすれば天(民意)の批判があり、かえって国の安全がゆるごう。谷垣法相も最近の地方選挙を見て、自民党・政府のおごりと高転びへの懸念を表明した。安倍政権の賢明な判断が望まれる。(おわり)
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