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2013-11-13 00:00
韓国には早く品格ある大人になって欲しい
松井 啓
大学講師、元大使
韓国は日本から地理的に最も近い国の一つであり、歴史的にも朝鮮通信使を10回以上も日本に派遣して、織物・陶芸技術等の文化を日本に伝えた。現在でも貿易や投資では相互に重要国であり、音楽や映画等の交流は盛んで、親しくなれる接点は沢山ある。他方、韓国は竹島を不法占拠し(国威発揚?)、日本海の名称を「東海」に変更させようと国際的キャンペーンを展開し(成功しそうにない)、日本から盗難された仏像の返還拒否、靖国神社への放火未遂など日本人の神経を逆なでするようなことを行って憚らない。
特に韓国側が繰り返し取り上げ、二国間問題を組織的に国際化しようと努力しているのが慰安婦問題である。両国間の賠償問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定に基づき「完全かつ最終的に解決済み」(日本外務省)であるにもかかわらず、1993年の「日本政府の心からのおわびと反省を表明」した河野洋平官房長官談話を奇貨として、国連人権委員会に「性的奴隷」を強制した関係者に処罰を求める報告書を提出させた。2011年に韓国憲法裁判所は慰安婦問題は協定の対象外であるとして、韓国政府に対して交渉を求める判決を下し、同政府は欧米でも組織的なキャンペーンを展開して、米、オランダ、カナダ、EUなどの議会でこの問題に関する決議を出させ、米カルフォルニア州やニューヨーク州での自治体や民間団体への活動の結果、慰安婦像の第一号がカルフォニア州に設置された。更に本年には韓国裁判所で「戦時徴用韓国人への賠償判決」が下され、新日鉄住金と三菱重工がやり玉にあがっており、韓国政府は現存被害者は22万人、動員に関与した企業は約300社としているという。
法治国家の根幹である司法制度のこのようなブレは、自国に対する国際的評価を決して高めることにはならないことを、韓国は自覚すべきである。米、英、仏の植民地であったアジアの国々が植民地時代や冷戦期の戦争で受けた被害の賠償を今もって要求をしている例があるだろうか。まず韓国自身が客観的な「歴史認識」(日本の植民地時代の諸制度やインフラ整備、戦後の日本からの経済的技術的支援の評価)を持つべきであるにもかかわらず、過去の歪曲された「事実」を蒸し返しては、自己流の理屈で気の弱い母親にお小遣いをせびる息子のような行動を取っている。これは日本に対する一種の甘えがあり、精神的にはまだ独立していないようにみえる。反抗期を早く卒業して品格のある一人前の大人になって日本と対等の付き合いができるようになって欲しい。
このまま反日教育を続け、自己の政権基盤強化のため敵愾心を煽っても、問題の解決にはつながらず、韓流ナショナリズムが硬直化し、軌道修正が困難となろう。お互いに反日、反韓を煽るような記事、インターネット発信は自制が必要であり、ヘイト・スピーチやデモが鎮静化したことは嬉しい兆しである。日本と韓国は中露米という三大強国に囲まれ、北朝鮮に隣接している一種の運命共同体である、両国とも米国とは同盟関係にあるが、米国もロシアも中国も動揺しており、東アジアは非常に流動的な局面を迎えている。今こそ両国の協力強化が必要である。いがみ合っている時ではない。
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