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2006-12-21 00:00
直近未来の需給ギャップ拡大への危機管理的対応が必要では
小倉 正
アルバイト
十市さま、専門家の方みずからお答えいただきありがとうございます。確認済み埋蔵量については、シェル社の保有埋蔵量の水増し告白が2004年にあり、2005年にはマシュー・シモンズの本「Twilight in the Desert」によりサウジのガワール油田の減耗の状態が明らかにされ、今年に入ってクウェートの大ブルガン油田の減少が報道されるなどもあり、OPEC諸国の公表埋蔵量そのものにケチがつけられていることはご承知のことかと思います。早期ピーク論を唱えるASPO(ピーク・オイル&ガス学会)の地質学者たち自身も石油業界内の退職した専門家であり、彼らのデータ自体の方が、1980年代末に政治的な上乗せがあったと噂されるOPEC諸国の公式統計よりも信用できるという評価は、現在それほど説得力がないとは思えません。
そうではない、というのなら、相手方の論に踏み込んだ分析をして、ここがおかしい、というのを示さなければ、ピークオイル論に反論したことにはならないと思います。逆側からみるとASPOの側はまさにIEA評価の元となっているだろうOPEC統計を水増しだと攻撃しているわけですから、IEAの評価をただ出すだけでは、論争があることを直視した上での評価にはなっていないと思います。
また、新規油田の探索に期待とのことですが、日本の石油開発公団でしたか、が自主原油開発で成果を上げられず解体されたことの評価はどういう風にされているのでしょうか。単に無能な組織だったので以前は失敗したのだ、新たに作り直せば上手くいくはずという評価なのでしょうか。探索の成功率が下がること自身も、石油の減耗のせいとは考えられませんでしょうか。
極短期の話についても疑問です。仮にストックの限界によるピークの方はおっしゃるようにまだ先であっても、IEAの云う10年先のピークについてだけ想定するのではなく、直近の未来に石油のサプライチェーンの中のどこかのボトルネックで限界が生じ、数年間需給ギャップが拡大し続けるという事態を想定すべきではないでしょうか。つまり、おっしゃるように投資が順調に進み始めているとすれば限界が生じやすいのは数年後の未来というより、過去の投資が低迷していた時期の影響を受ける直近に問題が起こりうると思います。発見できない油田がどこかにあるはずと強調しても、絵に描いた餅では食えません。実際には新規油田は発見されてから生産まで5年程度のタイムラグがあるわけですから、おっしゃるような deliverbility の問題に対しては、直近の1~5年についてこそピークが起こるという危機管理的な想定が必要なのではないでしょうか。
正直言いまして、既存の油田と設備だけからの石油産出量は年率5%もの規模で減耗し続けている、というようなことは、石油の専門家以外ではほとんど知られていないことだろうと思います。これまでの石油産出量増加も、綱渡りでの新規開発に依存してきたのだ、という事実は広く知らせるにふさわしいことではないでしょうか。
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