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2013-11-22 00:00
(連載)オバマ大統領ではアメリカは分裂する(3)
河村 洋
外交評論家
『フォーブス』誌の「2013年の世界で最も影響力のある人物ランキング」で首位になったのは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領で、オバマ大統領は2位にすぎず、以下は中国の習近平国家主席が3位、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が5位、イギリスのデービッド・キャメロン首相が11位となっている。これはアメリカがもはや超大国でないことを意味するのだろうか?このランキング表を注意深く見ると、ベン・バーナンキ連邦準備理事会議長やマイクロソフト創業者のビル・ゲーツ氏をはじめアメリカの公的機関や財界の人物が数多く上位に入っていることがわかる。そのランキング表のような結果をもたらしたのはアメリカの衰退ではなく、オバマ氏のリーダーシップの欠如である。議院内閣制であれば、オバマ氏のような指導者はとっくに辞任していたであろう。ブッシュ政権期にも世界金融危機による支持率の急落はあったが、政府は機能していたことを忘れてはならない。
任期終了まで3年を残すとはいえ、バラク・オバマ氏は実質的にレイム・ダックになってしまったので、アメリカ情勢に目を向ける者としては、オバマ後の次に誰が大統領になるのかも考える時期に来ている。現在与党の民主党からはヒラリー・クリントン前国務長官が最有力と見られている。しかし、ベンガジ・ゲート事件の悪影響は甚大になるだろう。スーザン・ライス前国連大使が国務長官になれなかったのも、議会で共和党がこの事件との関連でライス氏の就任に激しく反対したためである。グラスルーツでイスラムに対する素朴な恐怖感が広まる中で、これは著しく不利になる。民主党が指名するのはクリントン氏か、それとも他の人物か?
また共和党が巻き返すかどうかも注視すべきである。ヘリテージ財団マーガレット・サッチャー・センターのナイル・ガーディナー所長は、すでに昨年11月8日付けの『デイリー・テレグラフ』紙で母国イギリスのデービッド・キャメロン首相に対し「オバマ氏への行き過ぎたチア・リーディングは、本来なら理念を共有するはずのアメリカの保守派の間で英国保守党に対する印象を大きく損ないかねない」と批判している。ガーディナー氏はさらに、保守党のキャメロン氏が民主党左派のオバマ氏から学ぶことはほとんどないと念を押している。
オバマ政権がすでに死に体となっている現在、ガーディナー氏の論評はフランスのフランソワ・オランド大統領のような社会党の政権担当者にとっても示唆に富むものである。当然ながら日本にとっても自国の政権が自民党であれ民主党であれ、この指摘は見逃せない。共和党は国際介入に積極的な国防増強派とアメリカ・ファーストのティー・パーティーとの亀裂を克服できるだろうか?これは彼らの巻き返しに重大な要素となる。(おわり)
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