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2013-11-25 00:00
(連載)グローバル人材育成の道開けるか(1)
鍋嶋 敬三
評論家
日本から海外への留学生が激減する一方、日本の大学は国際化のスピードが遅れ優秀な留学生の確保に苦労している。米国際教育研究所(IIE)の年次報告書(2013年11月発表)によると、米国の大学への留学生(2012/2013年度)の総数は81万9644人、このうち中国人留学生は21%増の23万5597人でトップ、全留学生の28.7%を占めた。3.5人に一人は中国人である。中国人は過去5年間連続で20%以上も伸びた。日本は第7位で2万人を切った前年度からさらに減り1万9568人。1994~98年度にはトップの座を占めた日本だが、ピーク時の4割にまで落ち込んだ。
第2位のインド(9.6万人)、3位の韓国(7万人)と上位3カ国だけで半数を占めた。韓国は人口が日本の半分以下であることを考えると、極めて大きな勢力だ。日本は米国への高校留学生も20年前の3分の1(1046人)にまで減ってしまった。IIEは日本からの米大学留学生減少の原因について「急速な老齢化」を挙げたが、中国も「一人っ子」政策のひずみで人口構成の高齢化が進み、韓国は日本以上に少子化が進んでいる。日本の場合は大学受験を目指す小学生時代からの「塾漬け」で受け身の姿勢が身に着き、日本的体制にしがみつこうとする内向き志向が社会全体にまん延しているためではないか。
留学生の存在は長期的にどのような意味合いを持つのだろうか。米国が多民族国家として進んで移民や留学生を受け入れてきたことが国家発展のエネルギーになってきた。日本の12倍という中国人の留学生は大量の知米派(親米派でなくても)を産み出し、米国内外での人脈が厚みを増す。既に強い影響力を持つ中国系米国人、在米中国人に加えて留学生は「中国ロビー予備軍」であり、米国内で政治、経済、社会、文化などあらゆる面で「中国」を無視できない存在になる。ユダヤ系米国人が金融・経済、マスメディア、学界などで有力な人材を輩出し、中東政策を左右するほどの力を持ち、大統領選挙を含め政治的影響力を振るっていることは広く知られている。
高校生、大学生の海外留学の減少に歯止めをかけ、国際化へと大きく転換するには、大学(入試を含めた)の在り方を根本的に改めなければならない。安倍晋三政権が日本経済再生の第3の矢とする「新たな成長戦略」のため、政府は「日本再興戦略‐Japan is Back」を閣議決定した(6月14日)。「世界で勝てるグローバル人材力の強化」を掲げ、今後10年間で世界大学ランキング100校の中で日本の大学10校以上を目指す。政府は2008年、海外からの留学生を2020年までに30万人を受け入れる計画を決定し、在日留学生は2012年に13万7756人に達した(日本学生支援機構調べ)。(つづく)
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