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2006-12-25 00:00
北朝鮮問題を考えるー今こそ腰を据えてかかれ
角田勝彦
団体役員・元大使
今年もクリスマスになったが、「地には平和」の願いはいっこう達成されそうにない。日本にとって軍事的脅威になるともっとも多くの国民が見ている北朝鮮(読売・ギャラップ共同世論調査。12月16日付読売新聞)に関する6か国協議も、北京で12月18日、1年1ヶ月ぶりに再開されたものの、次回日程も決まらず休会になった。2005年9月採択された北朝鮮の核放棄などを盛り込んだ共同声明は一応再確認されたが、米国の金融制裁解除を核問題論議の前提とする北朝鮮の主張には妥協無く、核廃棄に向けた具体的検証措置は議論にも至らなかった。
中国(6か国協議議長国)の課題毎(非核化、米朝関係正常化、日朝正常化、経済・エネルギー支援、地域安全保障メカニズム)に作業部会を設けるという案もまとまらず、中国はメンツを潰された。日本は拉致問題も重視したが、日朝個別対話すら行われなかった。
北朝鮮は「金融制裁」問題の解決を核議論の入り口にした戦術の成功を自負していると見られる。要求していた米朝協議は6か国協議の枠内とはいえ実現したし、2007年1月にもニューヨークで金融問題に関する米朝専門家会合開催が予定されているようである。北朝鮮は「核保有国」としての立場を誇示しようとしており、共同声明などで期待される完全で後戻りできない朝鮮半島の非核化は、可能としても長い交渉を必要とすることは疑いがない。かえって、この間、北朝鮮はミサイルを含む核戦力強化に狂奔しよう。
拉致問題が動かないこともあり、日本国内では苛立ちが高まっている。前述した読売・ギャラップ共同世論調査では「北朝鮮に核を放棄させるため」国際社会がとるべき対策として「金正日体制を打倒する」が「6か国協議などの場で対話する」の32.8%を押さえ真っ先(39.8%)にあげられた。これは、米国の対話49.6%、打倒5.7%の世論と大違いである。北朝鮮制裁を定めた10月の国連安保理決議1718もあり、金融問題に関する米朝専門家会合などが進展することはあまり期待できないが、米国政府及び議会も、当面、対話路線をとっていくようである。それにはイラク戦争の教訓もあろう。
筆者は寄稿「国際テロ組織と『ならず者国家』への対処は別」(10月1日付「百花斉放」)で、短絡的でない処理が必要であることを主張した。金正日体制の崩壊は自滅であっても周辺諸国に大きな影響を及ぼそう。打倒となると、誰が行うのかは別問題としても200発とされるノドン・ミサイルの発射すら覚悟せねばならない。国際関係は、軽々に動くべきでない問題である。この際、北朝鮮問題には、防衛力強化を含め腰を据えてかかる覚悟が必要であろう。
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