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2013-12-14 00:00
(連載)特定秘密保護法成立から集団的自衛権行使容認へ(2)
角田 勝彦
団体役員、元大使
この間注目を集めたのが、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に中国が11月23日防空識別圏(ADIZ)を設定したことである。本件については、本欄での最近の鍋嶋敬三氏論考「 試される『対中同盟』の強靱さ」及び杉浦正章氏論考「安倍・バイデン会談で“尖閣連携”を確認せよ」を興味深く拝読した。少し付け加えたい。
12月3日の安倍首相とバイデン米副大統領の会談後のバイデン訪中(4日習近平国家主席と会談)の結果は、中国の頑なさとこれに対する日米韓の対応の多少の温度差を明らかにした。但し、バイデン副大統領が習主席に「米国は日本の同盟国であり、何かあれば日米安全保障条約上の義務がある」と伝えたように基本認識は変わりない。尖閣が絡むから我が国が撤回を求めるなど強硬なのは当然だが、戦略的忍耐心は必要だろう。また偶発的事故を避けるための日中連絡メカニズムを考えることは必要だろう。政府が12月13~15日に都内で開くASEANとの特別首脳会議でADIZを認めない日本の立場に理解を求める方針は妥当である。
なお香港の『亜州週刊』は、このADIZ設定は、4ヶ月前に習近平国家主席が「(東シナ海をめぐる日中関係は)資源の争いから戦略的争いに変化した」として決断したと報じている。中国軍部の独走でなく、中国の長期的戦略の一環と見る方が正しいだろう。
さて集団的自衛権の行使である。12月2日の共同ニュースによれば、政府は、集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更の試案をまとめた。この試案では、憲法第9条の下で許容される「必要最小限度」の自衛権行使の範囲には集団的自衛権の行使も含まれるとの論理構成にした。すなわち、北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の海洋進出など日本を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、米国などとの集団的自衛権行使は、必要最小限度の措置として容認すべきだとしたのである。この解釈は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」で今後議論を深める由であるが、従来の法制局解釈で「集団的自衛権の行使は許されない」としてきた憲法解釈を覆すのは容易ではない。さらなる今後の議論を待ちたい。(おわり)
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