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2014-01-14 00:00
(連載1)米国は日中どちらを向いているのか?
鍋嶋 敬三
評論家
2014年が明けたが、東京とワシントンの間には冷たいすきま風が吹き込んでいる。漁夫の利を得るのは日米同盟の離間を策す中国に他ならない。安倍晋三政権の懸命の努力で沖縄・普天間基地の辺野古移転が動き出そうとしている。米国の評価は高まり、同盟強化への大きな一歩になる。しかし、安倍首相の靖国神社参拝でワシントンの空気はがらりと変わった。首相に向けられた米国務省の「失望」声明は同盟の信頼性を揺るがすインパクトを持つものだ。米政府筋の発言からは安倍首相に対する政権中枢の政治的信頼が盤石ではないことが読み取れる。
中国は早速、参拝が「第2次大戦後の国際秩序に対する挑戦であり、国際社会は受け入れない」(王毅外相)と声高に国際的キャンペーンを張り、米露韓はては南シナ海で対決するベトナムとも電話会談して日本包囲網工作に余念がない。日本の国際的孤立化を図り、日米同盟の弱体化を狙っている。4月に計画されているオバマ大統領の日本訪問を前に米国との意思疎通を緊密にするよう安倍首相は指導力を発揮しなければならない。
外務省が2013年末に発表した「米国における対日世論調査」に注目すべき点があった。「米国は日米安全保障条約を維持すべき」と答えた人が有識者の部で対前年比16ポイント減の77%、一般の部で22ポイント減の67%と急落したのである。過去10数年間は80%台半ばから90%台の高率を記録してきたから、その異常さが目を引く。維持すべきかどうか「分からない」との答えも有識者17%(前年は4%)、一般の部は24%(同4%)に跳ね上がった。日米安保条約が「米国の安全にとって重要」との答えが両部門とも88%という高率を維持しているのを見ると、矛盾しているように見える。
同じ調査では「アジアで最も重要なパートナー」として中国が日本を2010年以来抜いて1位になっている(有識者の部)。中国を選ぶ理由としては「貿易・経済関係」を圧倒的多数が挙げているのは有識者、一般とも共通しており、米中の経済的相互依存関係が深まった表れである。中国は米国債の最大の保有国であり、米国にとって中国の存在が日増しに大きくなっていることの反映でもある。しかし、これだけでは安保条約維持への支持急落の説明はできない。尖閣諸島を巡る日中の対立激化によって、米国が日中軍事衝突に巻き込まれる懸念が強まった表れかもしれない。そうだとすれば、日本が頼みとする米国の拡大抑止が有事に有効に機能しなくなる恐れも否定できない。(つづく)
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