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2007-01-01 00:00
国費で教員を養成する大学を創設せよ
大藏雄之助
評論家
明治の開国が成功したのは、喫緊の課題である安全保障を確保し、将来に備えて諸外国に先んじて、実に革命的な構想によって、出身階層と男女の別なく義務教育を確立したことであった。安倍総理が教育改革を最大の目標としているのには大賛成であるが、その具体策を討議する教育再生会議は構成員の人選にも問題があると思うが、いじめ対策にしても教員の質の向上のための教員免許更新制度にしてもあまり有効ではなさそうである。
児童・生徒の学力増進も規律の修得も、一にかかって現場の教員による。それには長期にわたって教師になるべく訓練した者を採用するようにするほかはない。将校と教師は似た面がある。将校は赴任と同時に相当数の部下に対して責任を持たなければならない。したがってどこの国でも給与を支給しながら軍事の専門教育を施す組織がある。もちろん、一般の高等教育機関から参入する道が開かれているが、それでも将校になるには、幹部学校のようなところで少なくとも1年は訓練を受けることになる。
教員も就任と同時に数十人の子供を任される。しかしながら現在教員になるには僅かな必要単位を履修して、極めて短期間の教育実習に従事すればよい。一般の大学を卒業する時期になって、「見習社員でしごかれることがないから教員も悪くないな」と考えて教員を志願されてはたまらない。教師は子供を愛することが第一である。
戦前は軍学校と同様に、家庭が貧しくても生活費をもらいながら教員としての専門教育を受ける師範学校・高等師範学校の制度があった。アメリカ占領軍はこれが日本の軍国主義を促進したとして廃止したが、アメリカ以外の国にはみな師範学校がある。そこでは学生は何年も「自分は教師なるのだ」と考え、指導教官もその期間に不適任者を排除することができた。今こそ国家百年の大計のために国費で教員を養成する大学を創設すべきだ。
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