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2014-02-27 00:00
集団的自衛権の行使について
船田 元
元経済企画庁長官
衆議院予算委員会の審議も終盤に近づいて来たが、今回ほど集団的自衛権や憲法解釈の変更について議論されたことは、過去にはなかったと思う。国連が認める独立国としての安全保障に関する権利は、個別的自衛権と集団的自衛権である。個別的自衛権とは、外からの急迫不正の侵略に対して、その国が単独で戦う権利。集団的自衛権とは、自国が直接攻められていなくても、自国と密接な関係にある国が第三国から攻められた時、自国が攻められたと看做して、共同で反撃する権利を指す。
我が国は、憲法第九条の解釈において、個別的自衛権は行使可能だが、集団的自衛権の行使は「必要最小限度の武力行使」を超えるものだから、認められないというのが、歴代政府の解釈として積み重ねられてきた。その中心にあったのが内閣法制局である。これに対して安倍総理大臣は、第一次内閣の時から、「安全保障に関する国際環境の変化に伴って、一国のみで外からの侵略に対処出来る国はない。自国の安全を必ず守り切るためには、憲法解釈を見直すことにより、集団的自衛権の行使を一部可能にすることも検討すべきではないか」として、内閣に安保法制懇談会を設置した。
憲法解釈の最終判定者は、違憲立法審査権を持つ最高裁判所だが、行政府として解釈に責任を持つのは内閣であり、時の総理大臣が責任者である。従って先日の衆議院予算委員会で、安倍総理が答弁した「憲法解釈の責任者は私です。選挙によって選ばれていない内閣法制局ではありません」というのは、理論的に正しい。その後の自民党総務会において、「総理がどんどん憲法解釈を変更して行けるという話は、行き過ぎではないか」という意見も出たが、これは前後の脈絡からして、総理答弁を間違って理解したものと思う。ただその発言だけを切り取られると、誤解される場合もあるので、今後も丁寧な答弁を求めたい。
なおその際私も次のように発言した。「一般論として、時の内閣や総理大臣が、自由に憲法解釈を変更出来るのならば、憲法改正の必要は無くなってしまう」という発言だ。これは決して安倍総理の答弁を批判したものでなく、憲法解釈には一定の制限があるという、法理論上の常識を述べたまでのことだ。安倍総理ももとより、憲法解釈を無原則に変えてしまおうなどと考えているわけではなく、過去の解釈の積み上げを踏まえた上で、今後どこまで解釈を変更可能かどうか、慎重に検討して行くことを、再三にわたって述べられている。
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