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2014-03-28 00:00
再生医療の火を消すな
船田 元
元経済企画庁長官
iPS細胞発見でノーベル賞受賞という快挙を達成した山中伸弥教授につづいて、「もっと驚く発見」と言われた理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーのSTAP細胞が、今や存亡の危機に直面している。いやむしろ、STAP細胞そのものが存在しなかった、という疑いまでかけられてしまっている。
詳細な調査はこれからだが、既に多くの疑問点が指摘されている。「ネイチャー」誌に取り上げられた論文の写真の多くが、小保方氏の博士論文の使い回しだったり、改ざんの跡が見られるという。他の論文からの丸写し、いわゆるコピペ部分も少なくないという。これだけの不備があったのに、権威のある「ネイチャー」誌がなぜ取り上げてしまったのか?
また、この論文が同誌に取り上げられたとの記者会見の際、報道機関の多くが、小保方氏の研究風景や経歴などを用意周到に流していた。余りにも手回しがよく、何らかの組織的関与が伺われる。小保方氏の関与があったかどうかは分からないが、「作られたニュース」との疑いが拭い切れない。
しかし、門外者の探偵ごっこはこの位にして、当局者の今後の調査を待つこととしたい。問題は、再生医療研究が今回の騒動によって大幅に遅れるなどの影響が出てしまわないかである。若手研究者が意欲的な研究よりも無難なそれに閉じこもってしまったり、この分野の研究費が大幅に削減されたりしないだろうか?再生医療技術の分野では、我が国が一歩世界をリードしている。これをナショナル・プロジェクトとして伸ばして行くことは、アベノミクスの成長戦略にも繋がるものだ。今回の騒動を「けしからん!」で済ませるのではなく、きちんと改善策を打ちたて、冷静に行動することが、とても大切である。
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