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2014-04-10 00:00
砂川判決と集団的自衛権
角田 勝彦
団体役員、元大使
集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈見直しに関し、1959年の砂川事件に関する最高裁判決が「集団的自衛権」の行使を容認しているかどうか、が問題になっている。公明党は、この判決は「個別的自衛権」を認めたもので、集団的自衛権の限定的な行使を容認する根拠になはならないとして、安倍首相の考えを否定している。
両者ともに、筆者が4月4日の本欄寄稿で指摘した「国連型集団的自衛権」と「法制局型集団的自衛権」の差を認識しないことから、混乱している。すなわち、本判決は「国連型集団的自衛権」をはっきりと認めている。しかし、「法制局型集団的自衛権」を認める根拠にはならないのである。安保条約及び駐留米軍は合憲であるが、日本国憲法第9条が戦争放棄(第1項)及び戦力の不保持と交戦権の否認(第2項)を規定していることからして、「法制局型集団的自衛権」は限定的にせよ認められないのである。
安倍晋三首相は8日夜のテレビ番組で、集団的自衛権に関し、行使できる事例を限定して容認する方向で調整を進める考えを示した。自民党高村副総裁の集団的自衛権行使を限定的に容認する考えに沿ったものである。また9日菅官房長官は、記者会見で、夏以降に目指している憲法解釈変更の閣議決定に先立って、安保法制懇の報告書を受けた後「政府方針」を発表して、与党内協議を尽くす所存を明らかにした。解釈変更に慎重な公明党を念頭に置いたものであるが、国民の解釈変更反対の動き(4月7日東京での5000人集会とデモ、7日付朝日新聞掲載の世論調査で行使容認反対が63%へ増加)も影響していよう。
「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利」とする法制局型集団的自衛権は、憲法第9条の戦争放棄(第1項)及び戦力の不保持と交戦権の否認(第2項)の規定から、読みようがない。1999年に制定された周辺事態法も、「対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない」と規定しているのである。
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