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2014-05-06 00:00
(連載2)憲法記念日に考える
角田 勝彦
団体役員、元大使
実は集団的自衛権については、定義に混乱があると言わざるを得ない。国連憲章第51条等の容認する集団的自衛権は、いわば同盟により自国を守る権利であるが、法制局の定義する集団的自衛権は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもつて阻止する権利であって、両者はその内容を異にする。私見によれば、後者は、日本国憲法上放棄していると言わざるを得ない。法制局は、従来この集団的自衛権を「国際法上保有するが、憲法上行使できない」と説明して、一部論者から「保有するのに行使できないのはおかしい」との批判を浴びてきたが、実は日本はこの意味の集団的自衛権は、そもそも保有もしていないのである。日本が保有し、行使してきたのは、日米安保条約により付与された国連型集団的自衛権である。砂川最高裁判決が国際法上の正当性と合憲性を認めたのは、この意味での集団的自衛権である。
すなわち、法制局の定義する集団的自衛権は、日本は憲法上これを放棄しているので、行使以前に「保有していない」のである。行使しようとするなら憲法改正が不可欠になる。これには「限定的」も「包括的」もない。高村自民党副総裁が主導する限定容認論は法理論として成立しないと考える。
石破自民党幹事長は5月3日ボストンで記者団に対し、前記の関連法改正の先送りは、秋の沖縄県知事選や来春の統一地方選での争点化を避ける狙いがある旨を明らかにした。離島などの領域の警備を強化する法整備を秋の臨時国会で先行させたいとの意向も表明した。「個別的自衛権で対応可能だし、事態の切迫性から言えば優先度は上だ」と述べた由である。
安倍政権は外交で成果を上げている。しかし「人はその長ずる所に死せざるは少なし(墨子)」という。「難きを知りて退くは、軍の善政なり(左伝)」という言葉もある。賢明な道を選ばれることを期待する。(おわり)
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