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2014-06-18 00:00
(連載1)ロシアのウクライナにおける行動
伊藤 憲一
日本国際フォーラム理事長
今回のロシアのクリミア併合について、「その遠因はNATOの東方拡大にあり、ロシアの行動は勢力圏防衛のため必要だった」、あるいは「民族自決原則と内政不干渉原則の優先順位を決められないでいる国際社会にも責任がある」などの理由を言い立てて、ロシアの行動を弁護しようとする者がいるが、私は、この二つの理由とも、詭弁であり、「ロシアのウクライナにおける行動」の本質的な意味は別のところにあると考える。
NATOの東方拡大について言えば、それを求めたのは、かつてロシアの抑圧に呻吟した中東欧諸国であって、NATOではない。ルーマニアのNATO加盟実現のため奔走した同国のイオン・パシュク前国防相は、「これでルーマニアは歴史上初めて真の安全保障を得た」と、私にその安堵感をもらしたことがある。中東欧諸国がどこの国と同盟するかは、これら諸国の主権的決定事項であって、ロシアの指図すべきことではない。
民族自決原則と内政不干渉原則の優先順位について言えば、確かにそれは国際法に残された未解決の問題の一つであり、国際政治の不安定要因となっているが、だからと言って、それゆえにロシアの今回の行動が正当化されるものではない。なぜなら、「ロシアのウクライナにおける行動」の本質的な意味は、そのようなところにはないからである。
では、今回の「ロシアのウクライナにおける行動」の本質的な意味とは何であろうか。それは、前回2008年8月の「ロシアのグルジアにおける行動」と通底している。前回グルジアで国際社会の制裁を受けることなく、実質的な領土拡大を達成したロシアが、味を占めて、今回クリミアでその同工異曲を演じていると見るのが、もっとも本質を突いた見方である。というのも、帝政時代からソ連時代をつうじて一貫するロシア国家の本質を「力治国家」と捉える私は、かねてプーチン政権にについて、この本質への回帰という危険な傾向を嗅ぎ取っていたからである。(つづく)
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