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2014-07-02 00:00
(連載2)武器使用基準の緩和実現を
矢野 義昭
拓殖大学客員教授
また陸海自衛隊には領域警備の権限は与えられていない。もちろん領域の警備はどの国でも基本的には警察機関の任務であるが、警察機関の能力、権限の範囲を超える場合は、直ちに軍に領域警備の権限を移管し、切れ目無く対処できる態勢をとっている。領域警備への脅威が本格侵攻の前触れかもしれず、軍が即応しなければ奇襲を許すことになるからである。
奇襲抑止の態勢は、戦略守勢をとる日本の防衛では、特に必要性が高い。それにもかかわらず、陸海自衛隊に領域警備権限がなく、奇襲を許しかねない危険な警備態勢のまま放置されている。これではいわゆるグレーゾーン事態への対処ができない。しかし、領域警備法の法制化はまだ実現していない。
PKOの駆けつけ警護も集団的自衛権の行使というよりも、平時の武器使用権限の問題ととらえた方が良い。他国のPKOでは任務遂行のための武器使用が認められており、国連の武器使用基準もそのようになっている。しかし自衛隊だけは、武器使用権限が極めて制限されており、南スーダンでの事例に見られるように、他国との食い違いが現場に無理な判断や行動を強いる結果になっている。
安保法制懇の報告書でも整理されているように、(1)集団的自衛権の行使容認だけではなく、(2)集団安全保障、(3)グレーゾーンの事態対処と、大きく問題は3つある。これらと関連し、武器使用基準の問題もあり、安全保障面で解決すべき問題は山積している。しかし、危機はいつ突発するかはわからない。そのときに対応を迫られるのは現場の指揮官、隊員である。彼らに無理な判断や行動を強いる態勢を放置しておくことは、シビリアンコントロールの権限を政治が自ら放棄していることを意味している。速やかな改善が求められる。(おわり)
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