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2014-07-22 00:00
(連載1)中国を増長させる米国の言葉遊びと建前論
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
7月9、10日に北京で開催された、第6回米中戦略経済対話(S&ED)では、米国は、中国に対して、一応は言うべきことは言ったと、最低限の評価はしてよいのであろう。
中国は、アジアの問題はアジア人が解決する「アジア安全保障観」という名の、米国のアジアからの締め出しを主張したが、米側は「米国は太平洋国家である」と言って譲らなかった。海洋安全保障問題では、中国が、自国の海洋権益保護と米国の「公正な立場」を主張したのに対して、米国は「領有権についての一方的な行動は許されない」と反論した。サイバー問題では、米国は、中国のサイバー攻撃を止めるよう要求した。そして、これまで閑却されてきた人権問題では、米国は、人権活動家などの逮捕や嫌がらせに懸念を示し、さらに、新疆ウイグル地区でテロ対策を口実に人権弾圧をしないよう釘を刺した。
しかし、今般のS&EDの結果、中国が態度を変えるということは、到底あり得そうもない。その大きな原因の一つに、米国の、行動を伴わない言葉遊びと建前論があるように思われる。
まず、言葉遊びの最たるものは、「米中の新しいタイプの関係」である。習近平は「新型の大国間関係」を打ち上げ、太平洋は米中の二大国を受け入れる余地があると言った。こんなことは、かつて人民解放軍の将校が言った、ハワイを境とした太平洋分割論とほぼ同義であるのは明らかだが、オバマ政権は、これを拒否せず、「新型の大国関係」から「大国」を抜いて「新しいタイプの関係」という言葉を使うことで、米中の立場の違いを表そうとしている。今回のS&EDでも、米側は、全面的に拒否すべきところ、「新しいタイプの関係」とは、実質的な協力を強化し、相違点には建設的な対処をすることである、と言った。いかにも官僚的な言葉遊びと言わざるを得ず、これでは、中国に侮られるのは当然である。2005年に当時のゼーリック国務副長官が、中国を「責任あるステークホルダー(利害関係者)」にする、と言ったのも言葉遊びの悪い例であったが、今回は、中国側の概念に乗せられてしまっている点で、より拙劣である。我が国としては、米国に、「新しいタイプの関係」という考えや言葉から離れるようアドバイスする必要があろう。(つづく)
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