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2014-07-23 00:00
(連載2)中国を増長させる米国の言葉遊びと建前論
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
そして、領有権に関する建前論も、大いに問題である。米国は、南シナ海での領有権問題で「領有権については特定の立場を取らない」との原則論を繰り返している。領有権をめぐる一方的な行動を認めないと主張するときも、枕詞のように「米国は特定の立場を取らないが」という留保がほぼ必ず付く。
しかし、この原則は、紛争当事国がいずれも、国際法に則った主張をしている場合にのみ当てはまる。現に、北方領土問題では、米国は、ロシアの統治は不法占拠であり、日本に領有権がある、という立場である。南シナ海においては、中国が南シナ海のほぼ全域に主張している9点線が最大の問題である。中国は、9点線は歴史的根拠に基づく、と主張しているが、海洋法はそういう根拠は認めていない。
米国も、当然、9点線は問題視している。とすれば、9点線に基づく南シナ海の島嶼への中国の領有権主張には異を唱えるべきであり、その限りにおいて「特定の立場を取らない」というのは論理矛盾である。我が国は、関係国とよく協議して、米国が建前論、それも誤った建前論は引っ込め、9点線への反対をより明確にするよう求めるべきであろう。
尖閣問題でも、米国が、日米安保条約第5条の対象になる、と繰り返し言明してくれるのは、もちろん結構なことであるが、領有権自体に関しては、やはり、特定の立場を取らない、としている。これはおかしな話で、尖閣諸島は琉球列島の一部として戦後米国が統治し、それを日本に1972年に返還したというのが歴史的事実である。米国と協議して、日本がそういう主張をすることを容認させるべく、働きかける余地があると思われる。(おわり)
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