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2007-01-14 00:00
連載投稿(1)米国のイスラエル支援の真意
今野泰三
日本国際フォーラム研究助手
内田忠男名古屋外国語大学教授は、12月20日付の当政策掲示板への投稿の中で、米国によるイラク攻撃の真意は、サダム・フセインのイラクが現実の脅威を及ぼす先にイスラエルがあり、イスラエルの安全のためにはサダムを退治しておく必要があったからだ、と主張しておられますが、1970年代以降米国の対中東政策がイスラエルの保護一辺倒だったことはありません。私は、米国によるイスラエル支援とイラク攻撃の裏には、アラブ民族主義の拡大阻止、ソ連の影響力排除、石油供給の確保、反米的なイスラーム主義の拡大阻止、湾岸諸国の国内政治の安定という、米国の中・長期的戦略の実現という目標があったと思います。イスラエル保護のためのイラク攻撃という内田教授の主張は、このような米国の中・長期的な中東戦略を無視しており、イスラエル支援とイラク攻撃の裏にある米国の真意を見誤っている、と私は考えます。
確かに、1960年代後半までは、米国はイスラエルに、アラブ諸国の大国化を防ぐとともに、汎アラブ主義を掲げるアラブ諸国が統合し、中東地域に支配権を確立することを防ぐ役割を期待しており、イスラエルは米国の中東地域における最も重要な同盟国でした。しかし、1970年代以降になると、米国の対中東戦略の核は、石油供給の維持、イランの影響力排除、イスラーム過激派の拡大阻止、オイル・ショックによって富を蓄えた湾岸諸国を親米国家にすることにシフトし、それとともにイスラエルの重要性は低下したと考えます。例えば、1973年の第4次中東戦争で、米国がイスラエルを支援したのも、イスラエル保護のためというよりも、イスラエルがソ連に援助を請う姿勢を示したからでした。また、第4次中東戦争後にイスラエルとエジプトの和平交渉を促進したのも、イスラエルの安全保障のためというよりも、米国が親米的なサダート政権の姿勢を評価し、イスラエルとエジプト双方が親米国家として共存することを望んだからでした。(つづく)
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