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2014-07-31 00:00
(連載1)アジア諸国は中国の大国気取りに警戒心
河村 洋
外交評論家
今年5月のCICA(アジア相互協力信頼醸成措置会議)において中国の習近平国家主席が「アジア人によるアジア」という演説で物議を醸した際に、私は我が耳を疑った。この演説の根底にある発想は戦中の日本が主張した大東亜共栄圏と二重写しだったからである。中国の海洋拡張主義と大国意識の高まりに近隣諸国の懸念が高まっていることから、習氏の「アジア人によるアジア」演説は国際社会では否定的に受け止められている。第二次大戦中の日本と現代の中国の間には数多くの共通点がある。そうした共通点について述べてみたい。
地政学の観点から言えば、大戦中の日本も現代の中国も反欧米である。戦中の日本は脱植民地化と白人支配からの解放を掲げ、ヨーロッパとアメリカの勢力をアジアから駆逐しようとした。しかし日帝自体が植民地帝国であり、アジア人にとっては白いサーヒブ(sahib:ヒンディー語で「ご主人様」)も黄色いサーヒブも根本的に大きな違いはなかった。今日の中国もアジアにおけるアメリカのプレゼンスを追い払い、そこを自国の勢力圏に収めようとしている点で、変わりはない。
さらに重要なことに、戦中の日本も現在の中国も自由主義世界秩序に異を唱え、民主主義諸国に対抗するための枢軸を築き上げようとしていることだ。日本はファシスト国家のドイツやイタリアと同盟したが、中国は上海条約機構、BRICS、CICAを利用して西側民主国家に対抗する発言力を得ようとしている。日本がドイツやイタリアと結んだ三国同盟には、共同の戦略立案や作戦が行なえるほどの政策調整能力はなかったが、中国もアメリカとその民主的な同盟諸国に対抗する枢軸の形成には成功していない。
なによりも、過去と現在のアジアの大国は、いずれも普遍的に受容される自己自身の価値観を持っておらず、それを打ち出して国際公益のために動くということも、できていない。(つづく)
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