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2014-08-01 00:00
(連載2)アジア諸国は中国の大国気取りに警戒心
河村 洋
外交評論家
注目すべきは、過去と現在の反欧米専制国家の台頭と進撃がアジア人から歓迎されていないことである。シンガポール陥落はアジア諸国民に強い印象を与えたかも知れないが、ダグラス・マッカーサーとルイス・マウントバッテン卿の指揮で連合軍が反撃に転じた際に、彼らは日本軍と手を組んで白人のサーヒブを押し返そうとはしなかった。同様に、中国が主導する「アジア人によるアジア」はアジア近隣諸国、中でも東シナ海と南シナ海で領土をめぐる衝突を抱える国々の間では強い警戒の念を呼び起こしている。またシンガポールの『ストレート・タイムズ』紙(5月30日付け)の論説に記されたように、アジアは政治的にも文化的にも多様なので、どの地域機構も中国が国際政治上の支配力を強めるための道具にはならないだろう。今日では白人支配の植民地帝国などとっくに消え去っているので、アジア諸国民がアメリカの影響を排除した中国主導のアジアに関心を持つことはないだろう。
両専制国家は、アジア諸国民の福利よりも、自国の天然資源を求めて、南方に拡大している。戦中の日本は東南アジアの石油、錫、ゴム、その他鉱産物およびプランテーション作物を求めていた。今日では東シナ海および南シナ海での中国の領有権主張は、この水域での石油と天然ガスを求めてのものだと広く理解されている。両国がアジアの結束による欧米勢力の駆逐を呼びかけているのは、天然資源を確保しようという欲望と深くかかわっている。
極めて皮肉なことに、中国の漁船は南方海上の島々の領有権を主張しようとして、この海洋地域の隣国警備隊に対して、体当たり攻撃を仕掛けてくる。こうした攻撃は、日帝が米軍の艦艇に行なった神風攻撃と同様に前近代的である。中国は本当に戦中の日本のカーボン・コピーなのではなかろうか?興味深いことに、アメリカのカーティス・チン元駐アジア開発銀行大使も『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』紙への7月14日付けの投稿で現在の中国を戦中の日本になぞらえている。
アジア諸国が中国の大国気取りに警戒心を強める中で、私は中国に歴史認識の問題で日本を非難する資格があるのか疑問を呈したい。私の目には、中国こそが他のどの国にも増して日帝さながらの行動をしている国である。中国はこれからも恒久的に第二次世界大戦の勝者として振る舞いたいのであろうが、重要な点を忘れてはならない。戦争に敗れたのは日本国民ではなく、戦中のファシズムであることだ。中国が本当に戦勝国として振る舞うつもりなら、このことを銘記すべきである!(おわり)
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