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2014-08-07 00:00
誤報を拡大する韓国紙の偏向報道
杉浦 正章
政治評論家
物事の道理を反対にいい曲げて主張することを「サギをカラスといいくるめ」というが、朝日新聞の強制連行大誤報を伝える韓国紙の報道ぶりほどひどいケースを見たことがない。朝鮮日報、中央日報、東亜日報の全紙が、大誤報そのものをろくろく伝えず、内容を180度ねじ曲げた判断で記事を書いているのだ。明らかに朝日の誤報声明で強制連行の論拠が崩壊し、自ら書き続けた記事が「誤報の連座」となることを恐れたものであろう。これは報道に携わる者として、もっとも避けなければならない平衡感覚の欠如であり、重要なる報道責任の放棄だ。韓国政府は放置すれば東京発の「誤報」「虚報」で、やがては国を誤る時が来ることを知るべきだ。朝日の虚偽報道取り消し声明の本質は、強制連行の報道取り消しにあるが、韓国3紙はあえてそこをとらえていない。朝鮮日報は「朝日新聞は強制連行を否定する安倍首相を批判」と報じ、「安倍首相への直撃弾でもある」と、あらぬ方向を叩いている。中央日報は「朝日は、日本の保守勢力が唱える朝日ねつ造論にひとつひとつ反論、警告を発した」と報じた。東亜日報は「朝日は慰安婦問題の本質を直視しようと提言した」などと、まるで3紙で談合したかのような書きぶりである。
筆者はかねてから日韓関係を悪化させた大半の責任は韓国メディアの報道にあると指摘してきたが、今回の報道はそれが見事に的中、立証された。日本の報道機関は、まず真実を伝え、それを解説する事は自由であるというのが報道の基本姿勢であるが、韓国では事実関係よりも感情に支配された“ねつ造”を重視しているかに見える。この韓国紙の偏向記事について、自民党幹事長・石破茂が見事な解説をしている。8月6日のBSフジで石破は「韓国の報道陣にしてみれば、日本を批判する大きな根拠が朝日新聞の記事だ。それが間違いとなれば一種のびっくり状態となる。そしてこれまでのスタンスを維持しようと反応する」と分析した。朝日の取り消しは、これまでの自分たちの報道を全否定することにつながり、そうなれば責任を問われることになりかねない。そこで申し合わせたように、白を黒と言いくるめようとしているのだ。日本の言論人は少なくとも、そうした卑しいスタンスは取らない。朝日が遅きに失したとはいえ、取り消し声明を発したのは、言論人としての最低限の矜持があるからだ。
問題は今後の日韓関係への影響だが、石破は「報道の結果、韓国の中には怒りの増幅効果しか生まれない。メディアがあのように描いてしまうと、日韓関係を良くしようとするモチベーションは働きにくい」と分析した。確かに韓国大統領・朴槿恵のメディアに媚びる姿勢は、いよいよ強まりこそすれ弱まることはないだろう。朴のもとに朝日の取り消し声明が大使館から正しく報告されているかどうかも疑わしい。韓国人記者の偏向報道の問題は、国会で取り上げるしか方策はあるまい。毎日などが報道の自由との絡みで国会での朝日の記事の検証に慎重姿勢を示しているが、報道の自由も事によりけりだ。32年にわたる誤報の継続を放置することが報道の自由か。国会で検証するのは当然である。石破は「日韓関係改善のためには国権の最高機関たる国会が議論することは当たり前のことだ。それを弾圧とかの話でとらえるべきでない」と述べているが、その通りだ。次世代の党幹事長の山田宏も「臨時国会の予算委員会で朝日新聞元記者の参考人招致を求めていきたい」と述べ、日本維新の会代表・橋下徹も「朝日新聞の報道は罪が大きすぎる」と前向きだ。
ここは朝日の幹部を参考人として招致し、検証を加えるべきだ。同時に余りにも偏向著しい韓国特派員の報道の実態も検証すべきであろう。それにつけても、国連の人権高等弁務官ナバネセム・ピレイ(南ア)のエキセントリックぶりは目に余るものがある。朝日の大誤報を知ってか知らずか6日、いわゆる従軍慰安婦問題に関して声明を出し、「日本は戦時中の性奴隷の問題について、包括的、公平で永久的な解決に向けた取り組みを怠っている」として「深い遺憾」を表明した。ピレイは、まるでヒステリーのように「性奴隷」との言葉を繰り返し使用して露骨な批判を繰り返した。おそらく韓国の入れ知恵をそのままうのみにしているのだろう。その証拠に韓国外務省報道官が発言にすぐ反応して「国連の人権担当の最高位の人物が慰安婦問題について権威ある立場を発表したものだ」と歓迎の意向を表明している。8月末に退任して後任も決まっているが、どうも政府は国連となると対応が鈍い。常軌を逸した低レベルの弁務官如きに言いたい放題言わせておくべきではない。「性奴隷」は否定されたのであり、きちんと抗議して撤回を求めるべきだ。ここでも韓国のプロパガンダに先手を打たれている。
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