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2014-08-23 00:00
(連載1)朝日大誤報に触発されて、皆さんに問題提起です
西尾 亘
会社役員
今回、あえて一方的で偏った意見を申し述べてみることにしたいと思います。つまり、私がAという立場を出しますので、それに対し、BやCという立場が出ればいいな、という狙いです。いずれにせよ、素人考えに過ぎませんが、皆さんのご批判やご教唆を仰ぐことで、何かしら学ぶことができればと考えております。さて、このほど、朝日新聞は、長きにわたり論陣を張ってきた「従軍慰安婦」問題について、これまでその主張の根拠としてきた証言が偽証であったことを認めました。この問題に関する朝日新聞の一連の報道は、誤報ないしは虚報であったと判断せざるを得ない状況となりました。「従軍慰安婦」問題は、内容が内容だけに、国際社会への波及効果はすさまじく、日本がこの問題で、どれほど他国からキリキリやられたかを考えれば、朝日新聞の罪深さというのは強調しても強調しきれないものがありましょう。
しかし、私が今回の話で考えさせられたのは、さらに根源的なマスメディア全般のあり方に関する問題です。すなわち、いわゆる「第四の権力」と呼ばれるマスメディアのあり方についての問題です。たとえば、こういうことです。今回の朝日新聞のケースでは、国際的な波及効果のもった大誤報により、我が国の国益が少なからず損なわれましたが、朝日新聞は、通り一遍の訂正記事で事足れりとして、それ以上は自己検証も、謝罪もなく、沈黙を決め込むといった態度に出ています。そして、周囲は、朝日新聞にひたすら批判を浴びせても、それ以上は何もできないという状況にあります。
端的にいえば、犯した罪に対して罰はない、といった状況が発生しているように見受けられます。周囲は任意の自省を促すしか手はないのです。結果的に、今回の問題については、「メディアの健全さを担保する手段は、唯一、当のメディアの自浄作用に期待するしかない」という一般論しか出てこず、ちまたの言論もそのあたりをうろうろしているばかりのような印象を受けます。いうまでもなく、これは朝日新聞一社の問題ではありません。一定規模以上のメディアとなれば、何か問題を起こして、どれほど手厳しい批判が出ようと、それは「単なる参考意見」でしかなく、耳を貸すかどうかは当事者次第です。メディアの健全さを担保する手段は、唯一、当のメディアの自浄作用に期待するしかない、というのがその通りだとすれば、それはあまりにも危なかしい状況ではないでしょうか。
このように述べる際、私の頭には英国の歴史家ジョン・アクトン卿の言葉があります。有名な「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する」という言葉です。彼は国家権力について語っていたわけですが、これは国家権力に限らず、あらゆる権力についていえることかもしれません。今日、いわゆる先進国はほぼ例外なく立憲主義に立っています。そして、その国家権力は憲法によって歯止めがかけられております。また三権分立というかたちでその権限は分散されております。そのような制度によって、国家権力は「暴走」できなくなっているわけです。しかし、かりにマスメディアをある種の権力として捉えた場合、その権力の「暴走」を抑止するメカニズムはどこにあるのでしょうか。(つづく)
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