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2014-09-02 00:00
国会は朝日を招致して、「言論災害」を質せ
杉浦 正章
政治評論家
朝日新聞は基本的に編集方針が間違っている事に気づくべきだ。もう朝日が言論をリード出来ない時代となったことを知るべきだ。慰安婦強制連行という日本メディア史上最大の誤報に加えて、今度は福島原発の吉田調書の曲解報道である。いずれも世界に大きく誤報として伝わり、日本を限りなく貶めた。今後日本を背負って立つ青少年を惑わし、他のマスコミの反論がなければ、日本全体の自信喪失、地盤沈下に直結する報道である。朝日幹部はニューメディアの普及により、もう自らの紙面に政治家がひれ伏し、大衆が踊るという時代は去ったと悟るべきである。時代錯誤の編集方針を改めるべきときだ。
誤報を認めて撤回した従軍慰安婦の強制連行と、福島原発の吉田調書の曲解には共通している問題がある。公正な報道にあってはならない「ある種の意図」が感じられるからだ。それは古びた社会主義イデオロギーの卵の殻を引きずった「意図」であるかに見える。また中国や韓国など反日国家にこびを売る「意図」でもあるような気がする。首相・安倍晋三の言う「詐欺師・吉田清治」の創作を最大限活用して、時の政権を追い詰め、今は亡きフクシマの英雄・吉田昌郎の発言を曲解して、原発再稼働阻止を図る。その「意図」は深くかつ陰湿なものがある。報道に携わるものに代々言い伝えられている言葉がある。それは、「全体を見ずに、一部を伝えるな」である。普通の報道機関は先輩記者が口を極めて駆け出し記者に伝える「報道人の鉄則」である。強制連行を日本軍が実行したなどということは、全体を見ればあり得ない。朝鮮総督府による統治が欧州諸国のそれと異なったのは、その「人情味」にあるとされている。人情味あふれる統治で治安を保ってきた総督府が「木刀で若い女性を強制連行」する軍の行動を黙認するわけがない。そんなことがあれば、ほぼ100%済州島の朝鮮人男性は立ち上がり、暴動に発展したであろう。朝日は大局を見ていないのである。
今回の吉田調書もその相似形のように全体を見誤っている。朝日は吉田の「2F(第2原発)に行けとは言っていない」を金科玉条ととらえて、5月20日に「所長命令に違反 原発撤退」と書いたが、その発言に続く部分に気づかないか、あるいは無視している。吉田は「考えてみれば、みんなマスクをつけている、2Fに行った方がはるかに正しい」と付け加えているのだ。これが意味するところは、吉田は「行けと言っていない」が「行けと思っていた」ことになる。「吉田のためなら死んでもいい」と信頼している部下を、放射線にさらされる場所で待機させようなどと思うわけがないのだ。朝日は政治家を叩くときに使う得意の「言葉尻作戦」をここでも展開したのだ。その狙いは東電を貶(おとし)め、信用を失墜させて、原発再稼働への流れを止める「意図」に他ならない。だが、朝日がここでも大局を見誤る大きな誤算をしている。結果として吉田とその部下の英雄的な努力によって、福島原発は押さえ込まれているのだ。1000年に1度の災害が発生しても、原発は押さえ込めることを実証した。これにより、さらに強化された原発再稼働は可能となったのだ。
しかし朝日の報道は、日本を代表する新聞と受け止められているだけに、世界的な影響が大きい。慰安婦強制連行では、国連人権委員会の報告書で、「性的奴隷制」と断定され、国際的辱めを受け続ける結果を招いた。さらに吉田調書報道では読売の報道によると世界的な誤報の連鎖を巻き起こした。「パニックになった作業員が命令に反して原発を逃げ出したことが、記録で明らかに」(米ニューヨーク・タイムズ)、「サムライ精神の英雄的見本とはほど遠く、福島原発の作業員の9割が逃げ出し、被災したプラントに残るという命令に従わなかった」(英タイムズ)、「福島の『ヒーロー』、実は恐怖で逃げ出していた」(オーストラリア、オーストラリアン)といった具合であった。全ての報道が朝日の曲解をそのまま信じて報道しているのだ。
こうみてくると朝日はどうみても「亡国のメディア」としか思えない。冒頭から述べているようにその「意図」が、公然と邪道を歩いているからだ。そこには朝日幹部に、日本を代表する新聞であるとの奢り、思い上がりがあるとしか思えない。しかしメディアは多様化し、新聞の発行部数は下がり、相対的にその影響力が薄れている事に気が付かない。いま「吉田曲解」については読売が8月30日に参戦し、産経、共同とともに朝日の主張に真っ向から対峙(たいじ)している。政府は非公開と決めていた吉田調書を公表する方針だ。この際国会は、朝日の社長・木村伊量を招致し、報道姿勢について質すべきであろう。これほど国際的な誤報源となって、日本を貶める編集意図について調査する義務は当然国会にあるのだ。これは言論弾圧ではなく、それ以前の言論災害の問題であり、看過すべきではない。
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