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2014-09-07 00:00
日本は外国人を受け入れて発展せよ
松井 啓
大学講師、元大使
日本の総人口は2010年をピークに下降線をたどり、少子高齢化は更に進み、需要減退、生産活動の縮小、社会保障費の増大、財政赤字の拡大により、経済力は弱化し、国力は低下するといわれている。本年6月には「50年後の人口1億人維持」が閣議決定され、女性の職場進出促進のため少子化対策担当大臣に加え女性活躍担当の大臣も新設され、子育て支援体制の改善等が進められている。年2%経済成長を維持するためには毎年20万人の移民受け入れが必要との試算も出ているが、数字が先走りする恐れがある。日本はバブル崩壊前には日系ブラジル労働者を受入れ、また技能実習制度で中国を始め近隣諸国から若年労働者を中小企業や農村部に期間限定で受け入れている。最近では介護分野で、インドネシアやフィリピンの青年を看護士や介護士として受け入れる制度ができ、8月からはベトナム人もそれら候補者として病院や介護施設で働き始めると報じられている。
日本の人口減少に歯止めをかけ生産年齢人口を増加させるためには、これまでの高度人材は受け入れるが、不熟練労働者は建設、農林水産業等の分野に短期間に限り(現在3年を5年に延長が検討されている)受け入れるとの「外国人技能実習制度」は根本的に見直す要がある。この制度による「実習生」なしには成り立たない企業や地域も少なくなっていることは、この制度が安価な労働力確保のためのものと見なされる所以である。せっかく「壁」である日本語を習得し、文化や習慣、生活の知恵を身に付けたのに、そのような人材を帰国させ、また新たに不慣れな人達を招くより、優秀な実習生には希望すれば定住し、日本国籍を取得し、「新日本人」として日本社会の一部となる道を開くべきである。若年労働人口の増加に寄与し、「日本創生」に参画してもらうべきである。
勿論、職種や能力に応じた秩序ある受入れが必要であり、日本語習得、更に子供達の学校教育(補助教員の追加等)、保健・社会福祉制度を整え、担当行政組織の調整、NPOや地域コミュニティーの連携強化等の受入体制の整備、環境づくりが必要である。更に、包容力が大きい大企業が率先して外国人を受け入れ、労働環境・社会環境整備のモデルを示せれば、企業のイメージアップにもつながろう。日本人は新奇な文物に対する好奇心は強いにも拘らず、人種に関しては純血主義の人が多いが、日本は既に「心の開国」「内なる国際化」をする時期に至っている。
受け入れる外国人の食文化や宗教等の価値観も尊重し、来てもらいたくても、来てくれる希望者がいなくなる前に、ハイブリッドな日本人の多様化から新しい発想が生まれることを期待する。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、フランス、イギリスの「移民受け入れ先進国」の経験と知恵は大いに学ぶべきであり、アジアにもシンガポールのように国籍、職種による人数の割当制、労働許可制度、雇用制限、外国人雇用税等により未熟練労働者を管理し(労働力の3割は移民)、経済発展をしている例は参考となろう。
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