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2014-09-18 00:00
従軍慰安婦の一つの「真実」
津守 滋
立命館アジア太平洋大学客員教授
ここに古山高麗雄の一冊の本がある。『兵隊蟻が歩いた』だ。自ら多くの東南アジアの国の戦線を渡り歩き、ビルマ戦線でも陸軍一等兵として従軍した経験のある著者が、1975年にビルマを再訪して書いた旅行記である。この著書は77年に文藝春秋社より出版されている。そこに慰安婦について、次のような記述がある。
「朝鮮人慰安婦たちもまた、手錠をかけられた奉国義勇隊のように、人狩りで狩られた者たちである。彼女たちは、挺身隊という名で集められて連れて来られたはずである。朝鮮における挺身隊員狩りは、ビルマにおける義勇隊狩りほどではなかったかも知れないが、大変荒っぽいものであったようだ。内地でも女子挺身隊などといって、女子学生が軍需工場などで働かされたが、いきなり慰安婦にさせられてしまうということはなかった。朝鮮人の女性は、挺身隊の名で徴用され、いやおうなしに慰安婦にさせられた。当時の日本のやり方は、よその国を蹂躙することに、まったく気持ちの呵責はなかったようだ。中国人も、朝鮮人も、南方諸民族も、すべて劣等であり、それゆえに、どんな目にあわせてもよかったのである。・・・日本人は、生きて虜囚となることは恥と心得ても、他民族を蔑視したり、人狩りをすることは恥とは思わないのか、中国の小説を読むと、日本兵のことを東洋鬼と書いてあるが、そうもいいたくなるのであろう。その東洋鬼であることを恥じながら生きるというのはたまったものではないが、どうにもならないのが、あのころの私たちであった」
きわめて強烈な告白文、告発文である。朝鮮人の慰安婦を「挺身隊という名で徴用され、いやおうなしに慰安婦にさせられた」と述べている。この部分は、当時一般に伝わっていたことを、忠実に描写しているのであろうか。まさか著者が偏見や思い込みで捏造したものではあるまい。朝日新聞の誤報は、誤報として、その騒ぎに取り紛れて、歴史的事実の重みが相対化されるべきではない。
このような問題は、いずれにしろ日本人にとって不都合、不愉快な話であり、これ以上ほじくり返さなくともよいとも思えるが、問題がこれほど大きくなった以上は、やはり真実を知っておく必要があろう。吉田清治氏の2冊の著書の出版前で、「河野談話」の20年近くも前に、このような話が一般的に出回っていたのであれば、これはこれとして、歴史的事実であるかどうか、粛然と襟を正して検証する必要があろう。気の重い話であるが。
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