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2014-10-14 00:00
(連載1)日米防衛協力指針の中間報告について
角田 勝彦
団体役員、元大使
集団的自衛権の限定的行使容認を認めた7月1日の閣議決定から3ヶ月経った10月8日、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定に向けた中間報告が発表された。具体的協力内容は「最終報告で詳しく説明する」等曖昧になっており、関連法律の成立無しに協力実現ができない以上、これはむしろ当然であるが、方針として明らかにされた部分にも疑義は少なくない。とくに集団的自衛権の限定容認とは別の見地から検討すべき集団安全保障関係が問題である。イラク派遣には違憲判決も出た。自衛隊の活動範囲には客観的歯止めが必要である。
日米両政府は10月8日、外務・防衛当局の局長級による日米防衛協力小委員会を防衛省で開き、年末までにまとめる予定の新たなガイドラインの方向性を盛り込んだ中間報告を公表した。ガイドラインは、冷戦時代の1978年に旧ソ連の侵攻に備え策定され、97年に朝鮮半島有事(周辺事態)を想定した内容に拡大された。即ち自衛隊による米軍支援を拡大し、日本国内でなくても自衛隊による米軍への武器・弾薬を除く物資の提供や、武力を使わない船の検査などをできるようにした。「周辺事態は地理的概念ではない」というのが日本政府の見解だが、実際には歯止めになってきた。アフガニスタン戦争やイラク戦争が周辺事態でないのは明らかで、周辺事態法では自衛隊を派遣できなかったからである。政府は国会で期限付きの特別措置法を成立させて、インド洋での給油、イラクでの復興支援活動をそれぞれ実施した。
今回の再改定は、中国の軍拡や北朝鮮の核・ミサイル開発などを念頭に、2013年10月の外交・防衛担当閣僚による安保協議委員会(2プラス2)で、日米両政府が合意したものである。2014年末までと期限が合意されている。ひとつの問題は、この期限に無理があることである。 7月12/13日の本欄への私の投稿「日米ガイドラインの今後」で論じたように、(地方選との関係等から)政府が関連法案の改正を来年の通常国会としたのに、改正内容を先取りしたガイドラインの改定を年内に行おうとするのは、国会無視であろう。
与党もこの点を気にしている。10月12日のNHK番組で、公明党の北側一雄副代表は、安保法制について「骨格を示さないと(ガイドラインの)日米合意はできない。合意前に当然示される」と述べた。自民党の高村正彦副総裁は「(骨格とガイドラインを)同時に示す」と述べた。さらに問題なのは、その内容である。1997年のガイドラインで認められた自衛隊の米軍に対する後方支援は、「集団的自衛権の行使」や「武力行使との一体化」を禁じる憲法解釈のため、大きく制限されていた。今回の中間報告は、これを地理的にも機能的にも大きく拡大させる内容である。(つづく)
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