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2014-10-15 00:00
(連載1)日本は常任理事国入りよりも国連安保理改革を重視せよ
河村 洋
外交評論家
小泉政権期に盛り上がった国連安全保障理事会の常任理事国入りの運動は失敗に終わったが、日本はその希望をまだ捨てていない。安倍晋三首相は9月26日の国連総会での演説で、日本は常任理事国入りを追求し続けると明言した。そうした「ネバー・ギブアップ」の姿勢は称賛するが、それが日本にとって価値のあるものなのだろうか?安全保障理事会の基本的な問題は、日本とドイツの復権ではなく、集団安全保障の意思決定を阻む拒否権の是正である。よって日本が提案するなら、何か国連安保理の機能不全を解決するものにすべきであって、自らが既存の五大国に続く6番目か、7番目の大国になるというものだけならあまり意味はない。
実を言うと小泉政権が常任理事国入りを目指しながら結局は果たせなかった時に、私は愛国的な情熱の真っ只中にいた。当時世界第2位の経済大国であった日本なら、政治大国にもステップ・アップして当然だ、と何の疑いもなく信じていた。しかしそれから時が過ぎ、今後も常任理事国入りを目指し続けることが本当に日本の国益に適うのか、疑問視するようになった。大々的なロビー活動には膨大な資金と労力を要する。これまで日本は、アジアおよびアフリカ諸国にばらまき援助を与えて、彼らのご機嫌を取り込もうとしてきた。
ブラジルやインドのような地域大国とも共同で常任理事国入りを申請しようした。日本、ドイツ、ブラジル、インドでG4を構成したのは、そのためであった。しかしブラジルやインドのような地域大国が世界規模の責任を受け入れる用意ができているのかはきわめて疑わしい。地域のバランスがそれほど重要であれば、アフリカ連合が常任理事国を要求するのも当然である。本来なら立場が異なるはずのアメリカと中国がそろってG4の常任理事国入りに反対票を投じたのも、不思議ではない。さらに、日本が常任理事国入りの希望を持ち続けていることが中国のプロパガンダの格好の標的となっている。
安倍氏の演説からほどなくして、中国の王毅外相は国連総会の全参加者に対して「来年は、日本の軍国主義に対する中国の勝利から70周年に当たる」と念を押した。日本が中国の拒否権を乗り越えられるなら常任理事国入りを訴えるだけの価値はある。しかし、日本がどんなに努力しても、中国がその度に拒否権を行使するのを阻止できないとすれば、日本の努力は、歴史認識をめぐる中国の新たなネガティブ・キャンペーンの標的とされるでだけあろう。毎日新聞が9月27日付けの社説で述べているように、「日本を安全保障理事会の常任理事国にするために国連憲章を変えようなどという気運は全く見られない」のが実態である。(つづく)
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