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2014-10-23 00:00
(連載2)再生エネルギーの固定価格買取制度は極めて厳しい
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
他国の事例を見ると、英国の例などが参考になろう(というか、なったはずである)。英国では、元来、電力会社に再生可能エネルギーによる電力の割合を一定以上に義務付けるクォータ制をとってきたが、それに加え、2010年から小規模電源を対象にFITを導入し、2014年からは、送配電網の拡充・整備、スマートグリッドの研究開発、系統接続・運用方法の見直しなどと並行して、大規模電源もFITの対象に含めるという、漸進的改革をした。なお、英国では、原子力による電力も、低炭素電力に含められ、FITの対象となっている。
今回の日本の見直しは、本来、導入時に検討されるべき内容ばかりである。そして、地熱発電を優遇するといっても、2012年に日本の電気全体のうち0.3%であったのを、2030年までに1%まで引き上げるというのが今の目標である。それを、大幅に拡大できるとは到底考えられない。また、地熱発電は確かに安定したエネルギーであり、ベースロード電源たりうるものであるが、温水をくみ上げて水蒸気でタービンを回して発電するものであるから、集中すると、水蒸気の不足により、十分な発電が出来なくなる恐れもある。地盤沈下などについても慎重に調査する必要がある。地熱重視は悪くはないが、拙速は厳に戒めるべきである。
政府のエネルギー基本計画は、再生可能エネルギーの割合を2030年に約2割にすると言っているが、そこから見直す必要がある。当然、その代わり、原発の割合を増やす(現行基本計画では、出来るだけ依存度を下げるとだけ書いて、数値目標を示していない)べきであろう。再生可能エネルギーへの幻想は捨てなければならない。
FITを見直したとしても、制度が存続し得るかどうかは疑わしい。一旦失われた信頼の回復は極めて困難であろう。これは、FITの制度趣旨から言って、致命的と言わざるを得ない。地熱を重視するというが、今回の騒動を教訓に、地熱発電の業者が参入に二の足を踏むことが推測される。また、FITは、発送電の分離があって、実力を発揮できるものであるが、我が国ではそうなっていないし、発送電の分離を今さら行うことが適切かどうか大いに疑問がある。極めて抑制された形でFITが生き残るにしても、前途は極めて厳しいと言わざるを得ない。(おわり)
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