ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2014-10-31 00:00
東アジア・サミットの戦略的意義強まる
鍋嶋 敬三
評論家
11月にミャンマーで開かれる東アジア・サミット(EAS)の戦略的意義が強まってきた。東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国を中心に、日米豪印中など18カ国で構成する協議体だが、アジア太平洋地域のパワーシフト、南シナ海・東シナ海での緊張などを受けて、地域の平和と安定を首脳レベルで話し合う多国間機構としての価値が高まってきたためだ。4月の日米首脳会談後に発表された共同声明で、両国はEASを地域における政治・安全保障の「主要なフォーラム(the premier forum)」と位置付けた。英語表記のpremierは「最上の地位を占める」「首位の」という意味で最も高い評価を示す。
EASの枠組みで新たな動きが注目される。ベトナムのグエン・タン・ズン首相が10月28日、インドのモディ首相との会談で南シナ海での資源探査拡大で合意、安全保障分野での協力強化で一致した。南シナ海の領土紛争で中国と厳しく対立するベトナムがインドと手を握るインパクトは小さくない。日本もベトナムを極めて重視、安倍晋三首相がイタリアでのアジア欧州会議(ASEM)でズン首相と会談して「南シナ海問題で緊密な連携を確認」し、ズン首相は日本政府に「防衛・安全保障分野の協力の深化」を希望した(外務省発表)。
安倍首相は日米首脳会談後の5月、「シャングリラ対話」(シンがポール)の基調演説で、首脳たちがあるべき秩序を話し合う場として「EASに勝る舞台はありません」と述べ、2015年に10周年を迎えるEASの充実のため、その活性化、EASとASEAN地域フォーラム(ARF)、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)を重層的に機能させるためのロードマップの作成を提唱した。ASEAN中心の枠組みよりも、域外の米国などを含めたEASの方が中国の影響力を相対的に薄められる効果も計算している。日本政府はEAS議長国のミャンマーを「最大限支援する」(岸田文雄外相)姿勢を明確にしてきた。5000億円の債権放棄のほか、同国の民主化、国民和解、経済改革、インフラ整備などを支援、菅義偉官房長官が9月に実力者のミン・アウン・フライン国軍司令官と会談したのも同国重視の表れだ。ミャンマー政府が10月1日、営業免許を交付した外国銀行9行のうち3行が日本のメガバンクで、際立った優遇は日本への期待の大きさを示した。
「最後のフロンティア」とされるミャンマーは地政学的にも重要な位置にある。インド亜大陸と中国の両方に国境を接し、高い成長率が期待される。テイン・セイン政権の改革、開放の動きに合わせて、米国内にはミャンマーを「日米にとっての戦略的機会」ととらえる見方も出てきた。日米関係の専門家であるカーネギー国際平和財団のJ・ショフ上級アソシエーツは日米首脳合意を受けて、民族和解、経済の自由化などの課題について日米間での「同盟戦略の調整」を呼び掛けた。アジアのパワーシフトの中で、ミャンマー問題は同盟関係の重要な課題として急浮上している。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
公益財団法人
日本国際フォーラム