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2014-11-14 00:00
太陽光発電の危機を乗り越えるために
船田 元
元経済企画庁長官
3・11の福島第一原発事故以来、我が国では再生可能エネルギーの導入に、官民挙げて血道を上げてきた。民主党政権の時に、固定価格買取制度(FIT)がスタートし、再エネを種別規模別に区分し、それぞれに原価+利益で買取価格を決め、電力会社にその値段で買わせることとなった。かつてはRPS(新エネルギー利用特措法)という制度があって、各電力会社が再エネの量的拡大と管理を行っていたが、3・11の以後は量的拡大一色となり、価格設定にのみ関心が集まるようになった。その結果再エネの中でも、リードタイムの短い太陽光が先行する現象が顕著になり、九州電力をはじめ、既に設備認定した太陽光を全て系統接続すると、受け入れ容量不足で停電が発生する危険すら予想された。そこで電力会社からの接続凍結の通知が出され、大騒ぎとなってしまった。
このような事態は民主党だけの責任ではなく、法案修正の上賛成した自民党も責任は免れない。また電気事業者にも押し付けることは出来ない。当時は官民挙げて再エネの量的拡大ありきで、量的コントロールの必要性を過小評価していたと言っても言い過ぎではない。今後は関係者皆が智慧を出さなければならないが、幾つかの解決策が考えられる。先ずは精査による認定取り消しを目指すことだが、訴訟を起こされる可能性が十分にあり、適切ではない。二つ目は買取価格改定の頻度を一年としていたものを、半年に縮めること。それにより受給バランスを反映した適性価格に、早めに是正出来る。三つ目は発電元に緊急時の出力抑制を依頼すること。現在は抑制幅が小さいが、もう少し拡大してもいいのではないか。
さらに技術的解決策を考えると、先般のシステム改革による広域調整の可能性。また太陽光は昼間だけなので、それを利用して揚水発電のダムに水を貯め、自然の蓄電池を利用する方法などが考えられる。以上のような方策を幾つか組み合わせて対応出来るよう、検討を急ぎたい。
太陽光発電はご承知のように出力変動が激しい。風力発電もそれに次ぐものである。再エネの中では小水力や地熱発電、あるいはバイオマス発電は安定している。今後力を入れて増やすべきは、このような分野ではないだろうか。しかしこれらはリードタイムも長く、FIT制度を超えた支援策が必要である。再エネシェア30%に向けた取り組みは、はじまったばかりである。
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