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2007-01-26 00:00
中国との主導権争いを如何に進めるべきか
塚崎公義
久留米大学助教授
1月16日の本政策掲示板に対する投稿「東アジア経済圏構想の落し穴」のなかで、伊東道夫氏は「先ずは、日中韓が経済発展の協力関係と政治的繋がりについて、今一度良く意見交換を行い、より良い関係構築に努め、東アジア経済圏構想の推進に向けて努力を行ってもらいたい。それが、つまりは東アジアの安定的経済発展と平和的互恵関係を築く基礎になるのである」と論じておられる。このような伊東氏の見解は、常識的で耳ざわりも良いが、巧く立ち回らないと、結果として中国の覇権の成立を助けるだけのことになりかねず、心配である。
たしかに、日本にとって最悪のシナリオは、中国が日本以外のアジア諸国と地域統合を推進するというものであろう。ここで重要なことは、中国の視点に立つと、今の段階で日本と協力するインセンティブは大きくないということである。今の段階で日本を誘えば、日本に重要な役割を与えざるを得ないが、日本を誘わずにいれば、そのうちに自国経済が発展し、日本経済が少子高齢化などで衰退していき、時間が経つほど自国が主導権をとりやすくなる。そうなってから日本を誘っても遅くないし、うまくいけば日本の方から参加させてくれと懇願してくるかもしれないのである。日本としては、待てば待つほど立場が不利になるから、早いうちに日中が協力して地域統合を推進しようと考えるかもしれない。しかし、そうなれば中国としては焦る日本の足許を見て、協力に際して様々な条件をつけてくるであろう。
かくして、日本としては、東アジア地域統合構想に拘泥する限り、中国の主導権を認めて不利な立場に甘んじるのか、孤立して衰退していくのか、ジレンマに悩まされることになるであろう。そこで、発想を転換して、たとえば比較的経済が発展している諸国・地域だけで「東アジア先進地域共同体」を立ち上げ、中国の経済レベルが追いついてきた段階で加入を認めるという選択肢を検討してはどうだろうか。オーストラリアやロシアとも、中国の覇権を阻止するという共通の利害関係を梃子にして、何らかの連携を模索していけるかもしれない。日本と中国の経済力逆転が不可避である以上、日本としては座して待つことなく、柔軟な発想で幅広い選択肢を早急に検討していくことが必要なのではなかろうか。
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