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2007-01-29 00:00
国民投票法の成立を切望する
大藏雄之助
評論家
いよいよ通常国会が召集されて、参議院選挙まで長丁場が展開される。安倍首相は予算以外では、憲法改正への第1段階として国民投票法案の成立を期している。憲法改正は容易なことではない。石原都知事の主張のように「成立の過程が間違っていた」として強引に廃棄でもしない限り、半永久的に解釈改憲が続くことになるのではないだろうか。
しかし、改正するかどうかは別として、20年に1度ぐらいは国の根幹について正式に国民の意見を聞くべきだと思う。現在の憲法が制定されたとき、私は16歳で、意思表明の機会がなかった。それからすでに60年が経過した。もしも20年ごとに全国民の世論調査をすることにすれば、前回の調査時に未成年だった1歳から19歳までの国民が21歳から39歳になった折りに、その本意を聴取してもらえるということであり、それが憲法改正につながるのなら、それもよいではないかと思う。
旧西ドイツは毎年のように基本法(憲法)を改正してきた。アメリカでも平均して10年に1回の割合で修正を行っている。現行憲法に矛盾が生じたら速やかに改正して、その代わりに憲法は厳守するという方式は、日本の不磨の大典・金科玉条主義よりも合理的である。
かつてソ連は、自主的に加盟した国によって構成される連邦という建前で、脱退は自由ということになっていたが、離脱の手続きが定めてなかったために、ソ連から離れる運動を起こすと国家反逆罪で処罰された。わが国では憲法改正を口にしたからといって逮捕されることはないが、改正の賛否を一括して問うのか、条文ごとに採決するのか、有効投票をどのように算定するのか、有権者の範囲はどう定めるのかなどが明らかでなければ、憲法第96条の改正の条文は空文である。その意味で、少なくとも今国会でそうした疑問点を解消する法律が成立することを、私は心から希望する。
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