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2007-01-30 00:00
連載投稿(1)ロシアとのつきあい方
矢野卓也
日本国際フォーラム研究助手
モスクワでの反体制ジャーナリストの射殺や、ロンドンでのロシア人元工作員暗殺事件を機に、ロシアという国のかたちがあらためて注目をあびることになった。事件の真相は明らかになってはいないが、ロシアがらみの事件特有の臭みが感じられることは否めない。その限りでいっても、21世紀の現在、ロシア国家には、依然、有無をいわせぬ強権性が宿っていることが再確認されたように思う。われわれはロシアという国と、いかにつきあえばいいのだろうか。
私は、一昨年の3月、ロシアを訪れた。モスクワを中心にサンクトペテルブルクや地方の村に足を伸ばすことができたが、残念ながら、一般旅行者にとって、ロシア、特にモスクワは必ずしも心地よく過ごせるところではないという印象をもった。ロシアでは日々の滞在地を警察署に届け出なければならないので、予定外の遠出はすべて日帰りで済ませなければならない。警官にいつなんどき呼び止められるかわからず、言いがかりをつけられれば、賄賂で処理せねばならない。また、モスクワでは交通法規遵守を免除された政府高官用の青色灯のついた自動車が、我が物顔で市内を疾走していたのが目についた。
ここ数年、ロシア国内ではスターリンの再評価がみられるようである。スターリンの銅像が再建され、スターリン時代がおおむね肯定的に回想される傾向にあるという。たしかにモスクワの地下鉄はスターリン時代に建設されたものであるが、その壮麗さは世界に類がないものであるし、スターリン様式とよばれる建築は、その後建設された建物よりはるかに堅牢である。その意味でスターリンの遺産には様々な側面があるといえよう。われわれがスターリンと聞いて連想する大粛清やラーゲリ(強制収容所)などがまったく等閑視されるかたちで、スターリンが英雄視されているところが興味深い。(つづく)
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