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2015-02-05 00:00
共産党が安倍に突撃して鎧袖(がいしゅう)一触
杉浦 正章
政治評論家
共産党はやると思っていたが、案の定政策委員長・小池晃がタブーを突いた。タブーとは安倍がカイロで1月17日に「ISIL(イスラム国)と戦う周辺各国に総額で2億ドル程度を支援する」と発言、人質事件が発生すると20日に「2億ドルは難民援助」と「軟化」した問題だ。ISILは「日本政府はイスラム国に対する戦いに2億ドルを支払うという愚かな選択をした」と人質の殺害を行った。この因果関係を民主党を始め野党各党は、テロリスト支持と受け取られかねないとして、慎重な質問に終始したが、小池だけが参院予算委員会であからさまに首相・安倍晋三に質した。やりとりをつぶさに聞いたがその結果は、小池がどう公平に見ても正義対邪悪の邪悪側に立つ印象をぬぐえなかった。戦後の共産党を知る筆者などは暴力革命を唱えたマルクスとエンゲルスの「共産党宣言」に沿って共産党が1951年に農村部ゲリラ戦を想定した綱領を決定、血のメーデーを経て衆院選で全議席を失ったケースを想起してしまう。その後武装闘争路線を放棄したが、まるでテロ側に立って先祖返りするのかの如き発言だと思った。このところ議席を伸ばした共産党も限界がはっきりと見えてきた。
小池の質問はカイロ発言の“挑発性”を強調することに重点を置いたが、安倍は「テロに屈してはならない中においてどういうメッセージを出すべきかをしっかり議論した上で、カイロにおいて発出した。これは多くの国から賞賛されている」と、事前に議論を積んだ上での確信的な発言であったことを強調した。小池は「テロに屈することと慎重に言葉を選ぶことは違う」と一見核心を突いたかに見えた。安倍は「いたずらに刺激することは避けなければならないが、同時にテロリストに過度な気配りをする必要は全くない。これは今後とも不動の姿勢だ」と突っぱねた。小池の論旨はまるで安倍が慎重に言葉を選べば、テロがなかったかのような主張だが、ISILはそんなに甘くはない。日本が有志連合の一員として周辺国に2億ドルの援助を行うこと自体を敵対行為と見なしたのであって、安倍のカイロ発言の「言い回し」など全く問題にしていない。日本の一部有識者がしたり顔で発言の欠陥を言い募っていたことだが、有識者なる者は物事を見る目を養った方がよい。島国根性で足を引っ張るなら、もっと核心を突く訓練をすべきだ。
そもそもヨルダン軍の戦闘機のパイロット、ムアーズ・カサースベが殺害されていたのも、卑劣極まりないテロリストの本性露呈だ。火を放たれて殺害される様子が報じられたが、1か月前の先月3日に殺害されたことを確認したという。したがって後藤健二と二人で映った映像はやはり偽造であったことが判明した。テロリストにとっては安倍の「言い回し」など眼中になく、その行為をもっともらしく論評しても意味がない。さらに小池は、安倍がカイロ発言後に「食料や医療サービスを提供する人道支援」と説明したことをとらえて、「言い方が変わっている。エジプトのスピーチが拘束された日本人に危険をもたらすと考えたからではないか」とたたみかけた。安倍は直接答えず「小池さんの質問はまるでISILに対して批判してはならないような印象を受ける。それはまさにテロリストに屈することになる」とはぐらかした。ここで安倍がするべき答弁は「人命を救おうと思って表現を和らげることは当然のことだ」と言うべきだったが、もともと道理が通じないテロリスト相手では言葉の選択そのものが無意味であったのだろう。
というわけで、論争は「小池さんの質問はISIL側」とする安倍の「決め打ち」で9対1で安倍の圧勝に終わった。お坊ちゃまに似ずに、安倍はけんかの仕方を心得ている。共産党は邪悪なるテロリストを壊滅に追い込む有志連合に参加する日本に住んでいるのであって、嫌ならISILに移住してはどうか。日本での生活をのうのうと享受しながら、枝葉の議論で政局に持ち込もうとする姿勢は、先祖返りプラス「テロ屈し型政治」そのものでいただけない。今回の事件における安倍のリーダーとしての姿は、適切なるポジションにすくっと立っており、一部の三流評論家がこれまた日本型政局優先の発想で「人質解放は安倍の退陣で実現せよ」などと発言していたのが、馬鹿に見える。退陣したからと言ってISILが人質を解放するなどと思う思考の幼稚さにあきれる。3日夜も鳩山邦夫の会合で安倍は「日本は変わった。日本人にはこれから先指一本触れさせない。その決意と覚悟で事に当たる」と述べているが、テロ横行時代に突入した激動期の首相として、立派な立ち位置だ。
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