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2015-02-08 00:00
北方領土返還要求全国大会に出席して思うこと
飯島 一孝
ジャーナリスト
終戦から70年目の今年、旧ソ連による北方領土占拠も70年目に入る。いまだに返還の目途も立っていない中、東京・日比谷公会堂で2月7日、北方領土返還要求全国大会が開かれた。領土解決を優先課題に掲げる安倍晋三首相があいさつに立ったが、例年通りの内容に終始し、解決への意気込みが感じられなかった。70年前の終戦時、北方領土には3,124世帯、1万7,291人の日本人が住んでいたが、長い歳月がたつ間に6割の島民が亡くなった。存命の方々の平均寿命も間もなく80歳になろうとしている。「生きている間に島に帰らせてあげたかった」という元島民の悲痛な叫びが会場に響いた。
来賓のトップにあいさつに立った安倍首相は、「プーチン大統領とは(安倍政権の)一期目と合わせ、10回会談している。北方領土の帰属問題を解決して平和条約を締結できるよう、粘り強く取り組んでいく決意だ」と述べた。さらに、「今年は戦後70年目の節目の年だ。今なお平和条約が締結されていないのは異常であるといわざるを得ない」と強調したが、いまひとつ迫力に欠けた感がする。続いて岸田文雄外相が登壇し、「ウクライナ問題が日露関係を複雑にしているが、ロシアとの交渉を継続させていく。本年の適当な時期にプーチン大統領の訪日を実現するため努力する」とあいさつした。だが、大統領の訪日が実現しても、ウクライナ紛争が解決しなければ北方領土を解決できる国際情勢にならないことは明らかだ。二人とも、あいさつ後、「公用がある」としてそそくさと会場を後にしたのは偶然ではないだろう。
大会ではこのほか、連合、日本青年会議所、地婦連などの代表が今後も返還運動を盛り上げていくことを誓った。しかし、領土返還問題は第一に政治家の仕事といえるが、各政党や議員連盟の代表はひな壇に座って聞き入っているだけで、積極的な発言はなかった。政党数が多く、全員にあいさつしてもらう時間がないという事情は分かるが、せめて議員連盟など超党派の代表の決意表明を聞きたかった。
そんな中で、島根県安来市第三中学校の教員、生徒が「ビザなし交流」で初めて北方領土を訪ねた際の感想を述べていたのが印象に残った。女子中学生は「択捉島でロシア人の生徒たちとゲームなどを通じて仲良くなった。言葉を越えて心が通じ合った気がする。ただ、島内に日本を感じさせるものが何も残っていないことにガク然とした」と語り、「改めて領土問題を解決しないといけないと思った」と話していた。さらに、富山県民会議の代表は元島民が北海道に次いで2番目に多いこともあって、元島民の貴重な証言をDVDに記録して、県内の全小中学校に教材として配布していると語った。こうした活動が全国に広がれば、返還運動はさらに強固になっていくだろう。領土問題の早急な解決が見込まれない時だけに、官民とも知恵を出し合って地道な活動を積み重ね、若い世代に伝えていくことが重要だと痛感した。
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