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2007-02-01 00:00
連載投稿(2)アメリカ政治のダイナミズム
内田忠男
名古屋外国語大学教授
フセイン追放後の統治や、戦闘で荒廃した国土の復興などについての計画が杜撰を極めたのは、戦術面の不備・失敗であったが、それ以上の最大無二の誤りは、悪しき独裁者の専制でしか統一を保てなかったイラクという国の特性も弁えず、民主主義を植え付けて「大中東地域」民主化の先駆けにすべし、などというネオコンの呆けた楽観論に乗せられて軍事行動を起こしてしまったことである。国際社会は、その危うさを警告していたのだが、「テロとの戦争」に舞い上がっていた大統領は聞く耳を持たなかった。その大統領に喝采を送っていた市民、そして、野党民主党議員たちも同罪である。
そんな袋小路に入っているアメリカだが、一般教書演説をする大統領を迎えたキャピトルヒル、つまり連邦議会は、例年と代わらぬ儀礼で対応した。演説に先立って、入場した大統領を演壇に迎えた新下院議長ナンシー・ペロシ女史は「ここにアメリカ合衆国の大統領をお迎えするという最高の特権を行使します」と紹介したのに対し、大統領も演説の冒頭で「私はマダム・スピーカーという言葉で一般教書演説を始める最初の大統領という、高い特権と名誉を行使します」と、すかさずお返しをして喝采を浴びた。演説中も、ナンシー下院議長が、上院議長として並んで席を占めるチェイニー副大統領に先んじて立ち上がり、大統領の演説にスタンディング・オベイション(拍手)を送る場面が幾度かあった。これこそがアメリカ政治のフェアネス(公正・公平さ)を象徴するものであり、独特のダイナミズムにもつながるものと確信する。
日本のメディアの中には「演説終了と同時に席を立った民主党議員がいた」などと報じたところもあったが、これは民主党としての反論を直ちにテレビ・カメラの前で話す役目をもった議員と、その取り巻きの議員たちであり、今回に限ったことではない。それよりも、上述のフェアネスをこそ、伝えるべきはなかったかと思う。(おわり)
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