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2015-03-29 00:00
クリミア半島編入1年:ロシア国民の高揚感は冷めつつある
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアがウクライナのクリミア半島を自国領に編入してから丸1年。それを機に世論調査を行ったところ、愛国主義的な興奮状態が冷め、編入に疑問を持つ人が増えつつあることが分かった。このため過去最高に上昇したプーチン大統領の支持率にも微妙な影響を与えそうだ。この世論調査は、中立系の調査機関、レバダ・センターが3月中旬に全国で1600人を対象に行われ、3月23日付けの独立新聞(電子版)にその結果が掲載された。それによると、クリミア編入による「歓喜と正義の気持ち」を感じる人が1年前に比べ31%から28%にダウン。「喜び」も19%から14%に、「国家の誇り」も34%から32%に減った。その半面、「特別の感情はない」と答えた人が7%から12%に増えたという。
また、プーチン大統領のこの間の行動について「ロシア系住民を守るため」と評価する人は62%から55%に下がり、「ウクライナの秩序と安定を維持するため」とみる人も39%から33%に減った。その半面、「ロシアの領土を取り戻すためだった」とみる人が32%から40%に増えたという。さらに、クリミア編入の賛否を尋ねたところ、1年前は「肯定的、どちらかというと肯定的」と答えた人は75%だったが、現在は69%に下がった。その反面、「否定的、あるいはすべきでなかった」と答えた人は16%から19%に増えた。とくに編入を積極的に支持した人が1年前に比べ8ポイント減っているのが目立っている。
この調査結果について、レバダ・センターのグドコフ所長は「クリミア編入の高揚感が明らかに下がってきている証拠だ。愛国主義的な興奮が終わり、否定的な結果が出てきており、プーチン大統領の支持率にも影響を与えるかもしれない」と分析している。また、政治専門家グループのカラチェフ代表は「クリミア編入の効果は全体としては残っているが、経済面での利益を疑問視する人が増えている。また、3人に1人はウクライナの分裂の可能性を容認しているのが目立っている」と話している。
プーチン大統領はクリミア編入を強引に進めた理由として国民の支持を一番に挙げているが、この世論調査はその根拠が崩れつつあることを示している。その上、クリミア編入による経済の悪化が進行すれば国民の支持は離れていく。大統領にとってこれからが正念場だ。
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