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2015-04-12 00:00
(連載2)「天皇の政治利用」のメディアを懸念
中村 仁
元全国紙記者
3代にわたる天皇家の部分は事実であるにしても、長々とそれを紹介したのは、現在の日本が集団的自衛権行使への整備を含めた安全保障法制を全面的に見直しに取り組んでおり、それは天皇家の平和への思い、戦争への反省に反するという結論に結びつけるためだったのではないか、という疑念が残るからです。表立って番組関係者に聞けば、「客観的な事実を報道したまでで、そんな意図はありません」と返答するでしょう。でも、そうなのでしょうか。
番組の真の狙いについて、「天皇家を持ち出して、安保法制に反対する国民感情を刺激しようとした」という人、「天皇家は本当に戦争への反省と平和主義に徹しているのだから、そのくらいは当然ではないか」という人など、いろいろでしょう。いろいろであっても、「天皇に対するある種の政治利用」、つまり国内の政治議論への誘導を図るという狙いがあれば、それは問題です。テレ朝ばかりでなく、たとえば、日経新聞の社会面の「両陛下、記憶喚起の旅」という同行記者の記事にも気になるところがありました。「旅の目的である慰霊以上の意義があり、それは記憶喚起だった」とし、「ここ数年、周辺から聞こえてくるのは、歴史の忘却に対する天皇陛下の憂慮である」、「日本人が戦争の犠牲を無駄にしないために、何に立脚して次の時代を生きるべきか」と、記事は結んでいました。
天皇家には、太平洋戦争の惨禍への悔恨と責任感から、反戦平和の気持ちが強いようですね。それを伝えることは必要です。ただし、現在の国内の政治・外交論争に結びついてしまわないよう十分に神経を配らなければならない、と思います。
「天皇は象徴であり、国政に関する権能を有しない」というのが基本的な規定であり、個別の政策、議論における「政治利用」は慎まなければなりません。、特に、厳しい国際環境の中で、日本の安全保障政策のあり方を修正しようという動き、それを阻止しようとする動きが対立しています。天皇家の思いは尊重しつつも、それを政策選択の議論につなげると、「天皇の政治利用」になってしまう、ということへの注意深さが必要です。(おわり)
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