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2015-04-14 00:00
(連載1)米・キューバ首脳会談とオバマ・ドクトリン
角田 勝彦
団体役員、元大使
4月11日、米州首脳会議に際してのオバマ米大統領とキューバ・カストロ議長の首脳会談により1961年に断絶された両国国交の正常化が大きく進展した。昨年12月のテレビ演説により、キューバを国際的に孤立させることで民主化促進を目指すこれまでの米国の政策が「失敗だった」と明確に認め、関与政策に向けた大幅な方向転換を行ったオバマの、それ以来停滞気味だった具体的交渉進展への強い意志がうかがわれる。もちろん、これにはレームダックともいわれかねないオバマ政権の国内外での指導力回復、すなわちベネズエラなどの反米や中国の進出が目立つ中南米への影響力回復などの具体的な目的もあろうが、自分の信念に基づくレガシー(歴史的偉業)を残したいとの執念も見受けられるのである。
軍事力より外交努力を重んじるオバマ・ドクトリン(オバマ外交)は、民主党の基本路線でもある。4月12日出馬を表明した次期大統領選の「本命」民主党候補ヒラリー・クリントンも、オバマ政権の前国務長官であり基本的にはこの路線を踏襲するだろう。我が国の対米外交は、今後ともこの点に留意すべきだろう。
キューバとの国交回復により東西冷戦の遺物である両国の対立を解消しようとするオバマの動きは、オバマ・ドクトリンに基づくものである。オバマは4月4日のニューヨーク・タイムズのインタビューで、オバマ・ドクトリンを「関与する。しかし、我々のすべての能力は維持する」と説明した。強大な軍事力を背景に、国民を危険にさらすことなく(つまり軍事力を使用することなく)、外交で解決の可能性を探るというのである。この関与政策は、2013年夏シリアのアサド政権の化学兵器使用に対し、オバマが軍事攻撃をいったんは決断しながら、シリアが保有するすべての化学兵器を国際管理下に置くというロシア提案を受け入れたことで攻撃を中止したことに現れた。弱腰露呈とも見られ、ロシアのウクライナ介入、中国のサイバー攻撃や海洋進出への対応への遅れにつながっているとの批判もある。
ロシアのプーチン大統領は、オバマを軽視しているようで、オバマが「核なき世界」への外交で2009年ノーベル平和賞を受賞したのを無視するかのように、2015年3月の大演習で、ウクライナ情勢をめぐり欧米との関係が極度に悪化すれば核使用も辞さない姿勢を示した。過激派組織「イスラム国」などとは、そもそも外交での問題解決は不可能だが、米国の「能力」は威圧となっていない。(つづく)
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