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2007-02-05 00:00
「主張する安倍外交」と集団的自衛権
角田勝彦
団体役員・元大使
麻生太郎外相は、2月3日、京都での講演で、米国のイラク政策を「(軍事)占領した後のオペレーション(作戦)として非常に幼稚なもの」と批判した。1月下旬の久間章生防衛相の米大統領によるイラク開戦判断批判を含む一連の対米発言に続くもので、模索されている3月以降の日米安全保障協議委員会(2プラス2)開催への影響も懸念される。
安倍首相は「主張する外交」を掲げているが、1月26日の施政方針演説とその後の各党代表質問への回答を通じ、その内容は、小泉外交の日米同盟一辺倒を離れ、日米同盟の中で「強い日本」となること、インド、豪州及び欧州との連携を強化し、日米同盟だけに依存しない「新多国間主義」を目指すことなどにあることが明らかになってきた。米国にはさまざまな疑念も生まれよう。5月上旬で調整中の首相訪米に向け、2月にも実現するといわれているチェイニー米副大統領来日の際にも、疑念が払拭されることが望まれる。安倍首相は「日米同盟は我が国安全保障の要で、一層強化する」と答弁している。
さて集団的自衛権である。麻生外相は3日の演説で「日本がやられた時は米国が助ける。米国がやられた時に日本が逃げることで通るかどうか、考えなければいけない」と述べ、行使を容認する方向で検討すべきだとの考えを重ねて表明した。その主張の是非はともかく、問題は手順である。昨年9月、本「百花斉放」へ筆者が投稿した「解釈変更による集団的自衛権行使は無理」を皮切りに、「百花斉放」でもかなりの論戦が行われたが、首相就任後の安倍首相は慎重な態度に変わり、とりあえず憲法改正のための国民投票法成立を目指すことになった。
最近でも、集団的自衛権についての従来の法制局による解釈を改めることで、日米同盟に貢献せよとの見解が見られる(たとえば田久保忠衛氏の本欄への1月10日付投稿「首相は集団的自衛権問題で決断力を示せ」)。しかし、法制局長官を交代させて解釈変更を行うとの方法は、実現に無理がある。総理の決断により行政府がまとまり、国会も同意するとしても、裁判所がある。違憲審査権がある。デュー・プロセス・オブ・ローの原則もある。安倍首相は、施政方針演説で「いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な類型に則し研究する」と述べている。「憲法で禁止されている」ものを解釈変更で実現できるというのは、いかなる法理に基づくのであろうか。反論を頂きたいものである。
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