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2015-05-21 00:00
プーチン政権の反欧米キャンペーンがロシア国民に浸透
飯島 一孝
ジャーナリスト
ウクライナ紛争は昨年2月の政変から1年3カ月続いているが、ロシア人の過半数が「紛争長期化の原因は米欧の指導者のせい」と考えていることが、世論調査の結果から明らかになった。また、ウクライナ東部で起きているウクライナ軍と親露派武装勢力との戦闘が戦争に発展する可能性があると心配しているロシア国民も49%いることが分かった。この調査は、ロシアの中立系世論調査機関レバダ・センターが4月中旬に全国で1600人を対象に行ったもの。その結果によると、東部ウクライナの戦闘が長期化している理由を尋ねたところ、「米国と西側の指導者がこの戦闘の責任をロシアに負わせ、世界での影響力を抑え、価値観を押し付けるために利用している」と回答した人が56%にのぼった。
2番目に多かった回答は、「ウクライナの指導者が経済的問題から国民の目をそらし、自己の権力を守るために戦争気分を必要としている」というもので、27%だった。「ロシアの指導者がドネツクとルガンスク両州の軍人を支持するため、紛争に干渉しているからだ」と答えた人は6%だった。11%は回答を保留した。また、ウクライナ東部で親露派武装勢力とウクライナ軍との軍事衝突が戦争に発展することを恐れている人は49%、ロシアと西側諸国との軍事衝突が戦争に発展する可能性があるとみる人は47%にのぼっている。戦争になる可能性がないとみる人は40%台だった。さらに、「ロシアはウクライナとの関係でまずどんな目的を実現すべきか」との質問には、「ウクライナとの友好関係を回復する」と答えた人が一番多く40%だった。次いで「クリミア半島を強化する」と回答した人が26%。以下は「ロシアとウクライナとの経済協力の強化」「ウクライナのNATO加盟禁止」「ウクライナ向け天然ガスの価格強化」などの順だった。
この調査結果は、概ねプーチン政権が述べていることを受けた内容で、政権側の反欧米キャンペーンが浸透しているともいえる。その一方で、調査結果は、ウクライナとの関係改善を強く求めていて、同じスラブ民族として共存していきたいという願いがうかがえる。米欧の反露キャンペーンが強まるなかにあっても、冷静に対応しようという気持ちは失われていないようだ。
ウクライナ紛争で米国政府が米軍空挺部隊をウクライナに派遣したことで、ロシアと米国の代理戦争になるとの見方が強まっている。その一方、ロシアは米国の介入を抑えようと中国との連携を強めている。このため新冷戦、あるいは再冷戦が起きるとの見方もあり、和平に向けて国際社会の真剣な取り組みが求められている。
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