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2015-06-09 00:00
(連載2)伊勢志摩サミットの外相会合は広島で
角田 勝彦
団体役員、元大使
さて安倍首相は、外相や財務相などの閣僚会合はほかの候補地での開催を検討する考えとされるが、外相会合の開催について是非考慮してほしいのは「核なき世界」への訴えである。もともとサミット開催地について首相の意向には広島が強かったが、参加国の意向を探ると、原爆を使用した米国を含め各国の反対が強かったとされる。このことが示すように「核なき世界」がオバマ米大統領の悲願であるにせよ、世界政治の現実の反応は厳しい。
その具体的現れが4月27日から5月22日までニューヨークの国連本部で開催された2015年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の失敗であった。この会議は同条約第8条に基づき,条約の運用を検討するために5年毎に開催され、NPTの3本柱(核軍縮,核不拡散,原子力の平和的利用)について議論が行われる。各委員会が作成した合意文書が本会議で採決にかけられる。
実は4月14日~15日、ドイツ・リューベックにおいて開催されたG7(エルナウ・ナミット)外相会合でG7外相は、不拡散及び軍縮に関するステートメントを発出し3本柱に対するコミットメントを再確認していた。4月27日、岸田外相は、NPT運用検討会議において一般討論演説を行い、被爆地広島出身の大臣として、被爆地の思いを胸に「核兵器のない世界」に向けた取組を前進させる決意を述べた。さらに4月28日、安倍総理訪米の機会に、日米両国は、「NPTに関する日米共同声明」を発出し日米両国が今次会議の成功に向け協働することを確認していた。しかし、今次会議は、中東非大量破壊兵器地帯の設置構想を巡って米・エジプト間の溝が埋まらず,最終文書を採択することなく終了した。これがNPTを中心とする国際的な核軍縮・不拡散体制に一定の打撃を与えたことは否めない。
筆者は、本欄への投稿「被爆体験に言及しなかった安倍総理(5月4/5日)」で安倍首相の戦後70年談話には「被爆体験」への言及が必要と論じた。その後の本年8月の広島における国連軍縮会議,包括的核実験禁止条約(CTBT)賢人グループ会合、9月のCTBT発効促進会議などでの「核なき世界」への努力も必要である。未採択に終わったNPT運用検討会議最終文書に「世界の指導者に広島・長崎訪問を促す」内容を盛り込もうとした努力(中国に反対され間接的表現になった)にも鑑み、伊勢志摩サミットの外相会合を広島とすることはその実をとることにもなろう。伊勢志摩サミットの外相会合は、広島に決定すべきだろう。(おわり)
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