ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2015-08-04 00:00
(連載2)今こそアベノミクスの成功に注力すべき
角田 勝彦
団体役員、元大使
国民の間では安保関連法案への理解は拡がっていない。むしろ批判が拡がっている。7月24~26日読売新聞が実施した全国世論調査では、安倍内閣の支持率は43%で、前回調査(7月3~5日)の49%から6ポイント下落し、2012年12月の第2次安倍内閣発足以降で最低となった。不支持率は49%と前回の40%から9ポイント上昇し、初めて不支持率が支持率を上回った。安保関連法案の今国会での成立については、「反対」が64%(前回63%)で「賛成」の26%(同25%)を大きく上回っている。
一方、有効求人倍率が23年ぶりの高水準を維持していることが示すように景気が回復傾向を見せている経済社会面でも、民間シンクタンク各社が4~6月期の実質GDPは前期比年率2.2%減(各社平均値)で3四半期ぶりのマイナス成長となる見通しを発表するなど停滞感が強まった。食料品などの値上げを背景とした個人消費の不振や輸出低迷が主因とされる。7月23日IMFが発表した日本経済に関する年次審査報告書は「アベノミクスには追加策が必要だ」として一層の構造改革に取り組むよう求めた。また日銀に対し、2%の物価目標の達成に向けた強い姿勢を示すため、追加金融緩和を準備するよう要請した(ただし黒田日銀総裁は「今の時点、追加緩和の必要ない」と述べた)。
国際面では、中国が懸念材料である。中国の景況指数は7月に半年ぶりに下落した。最近の東京株式市場は中国株の乱高下に翻弄されている。ハワイの閣僚会合で環太平洋連携協定(TPP)交渉の大筋合意が8月1日見送られたことも問題である。「日本にとって最大の成長戦略」と期待していた一部経済界から落胆の声が上がっている(農水関係は別の反応を見せている)。米議会との関係から8月末が次の閣僚会合と合意へのギリギリの期限とされる。合意見送りは、台頭する中国を見すえた日米の戦略にも影を落とす。安倍政権は国内市場が縮小するなか、価値観が近い米国とルールづくりを主導し、アジアへの輸出企業進出を広げることを成長戦略の柱にしてきた。次回閣僚会合待ちで楽観的に座っているわけにはいかないだろう。
中国とは戦後70年談話の問題もある。安保関連法案の無理な国会通過に血道を挙げるより、アベノミクスの成功(復興などを含む)に全力を挙げることこそ大宰相の名を残す道ではないだろうか。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
公益財団法人
日本国際フォーラム